節税や税務について知りたい経営者の方向けの記事

個人事業主と法人どちらが有利なの?

起業当初によくある質問

スタートアップカフェでよくある質問として、「法人と個人事業主どちらがいいの?」というものがあります。その回答は例によって「場合による」というものですが、どういう場合にはどちらがいいのかといったことについて説明してみたいと思います。

法人税・所得税の観点から

法人になれば、法人税、個人事業主であれば所得税が課せられます。法人税はどれだけ儲かろうが税率は大体30%ぐらいです。一方で、個人事業主が対象となる所得税は900万円までは23%、900万円を超えてくると33%の税率になります。この他、給料の金額によって変動する厚生年金・社会保険に法人化したら加入しなければならず、そのあたりの話も考慮して大体利益ベースで700万円あたりから節税メリットがはっきりと現れはじめます。

したがって、法人税・所得税の観点からどちらがいいのかという話であれば、事業の利益が700万円程度をラインとして判断するのがいいと思います。

消費税の観点から

しかし、消費税の話になってくるとまた変わってきます。消費税は当初2年は基本的に免税ですが、1年目に売上高が1,000万円を超えると、3年目からは課税事業者になります。したがって、個人事業主を2年続け、3年目に入る直前に法人化すると、一旦リセットされてさらに2年間免税事業者でいることができるようになります。

したがって、消費税の観点からは起業当初は個人事業主、課税売上が1,000万円を超えてから1年後に法人化というのがベストになります(上半期で1,000万円を超えると2年目から課税事業者になるので注意が必要です)。ただ、2023年10月からインボイス制度が始まるため、そうなってくると、仕事を発注する側は免税事業者より課税事業者の方に仕事を発注しやすいという状況になります、小売業など売る相手が最終消費者の場合は関係ありませんが、相手が最終消費者ではない場合、一概に消費税の免税事業者の期間を伸ばすがいいとは限らない状況になります。

信用の観点から

商売をする上で、法人であるかないかというのは信用力に違いが出てきます。一旦仕事を認められれば個人事業主だろうが株式会社だろうが合同会社だろうがあまり関係なくなりますが、最初の入口の時点で相手がそれなりの規模の会社だと弾かれる可能性があります。

税務上のメリットが無かったとしても、株式会社を設立したいという想いであったり、対外的に信用力が上がるという事で法人になるというというのであればそれはそれで問題ないのではないかと思います。それによって支払う税金が増えるという事を把握したうえで選択法人化を選択するというのも一つの考え方だと思います。