様々なWeb会議ツールの検討ポイント
現状ではZoomが最も利用されているWeb会議ツールという印象ですが、特にセキュリティを気にする情報をやり取りしている我々のような業界や、医療、金融といった業界ではZoomの脆弱性のニュースが敬遠されがちです。
Zoomがとりわけ脆弱なWeb会議ツールというわけでは無く、十分ビジネスに耐えうると思いますが、よりセキュリティがしっかりしている(という印象がある)Web会議ツールでなくでなくてはと思うのであれば、例えば医療情報の米国のセキュリティ認証であるHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)や、クレジットカード会社の業界標準であるPayment Card Industry Data Security Standard(PCI DSS)に準拠しているPCI Complianceの認証を取得しているWeb会議ツールといった基準で選定することも考えられます。この点、素人目にはどの程度セキュリティがしっかりしているかといったことはわからないと思うのでこのような取得した認証によって判断するのが分かりやすいかと思います。
他には、例えば会議中に参考資料を提供するためにチャット経由でデータをやり取りすることがあると思いますが、そのデータが無制限にやり取りできれば利便性は高い半面、セキュリティ的にはマイナスです。
また、ほとんどのWeb会議システムは同じようなログイン形式をとっていますが、IDとパスワードのみでログインできる形式は簡単で誰でもわかる反面、ハッキングされるリスクも高く、セキュリティ的には多段階認証のような要素があった方がいいという事になります。
コストの判断基準は何部屋作れるのか、何人参加できるのか
Web会議ツールの操作性はいくつか使った印象ではそれほど大きな違いはありません。画面共有ができる、複数の人と遠隔で情報交換ができる、チャットでもコミュニケーションができる等々はどのツールでも同じで取り急ぎその程度のことができれば困りません。大体同じことができるとした場合、コストを考える際に必要な要素は、月額いくらで、何人が参加可能か、いくつの会議室が作れるのかといったことになると思います。
例えば、月額2,000円で50人参加可能、一つのIDで一つの部屋のみのWeb会議ツールと、月額5,000円で50人参加可能、一つのIDで四つの部屋を作れるWeb会議ツールであれば、費用対効果は四つの部屋を作れるほうが上になります。しかし、例えば一つの部屋で十分事足りるのであれば四つ作れる意味が無いので2,000円の方が得です。結局は自分がどのように使いたいかによって本当に得なのか損なのかは変わってきます。
利便性については今後枝分かれする可能性がある
今のところ、圧倒的に利便性が高いWeb会議ツールはありません。強いて言えばZoomは日本においては利用ユーザー数が最も多いと思われるため、Zoomの使い方に慣れた人が増えてお互いZoomが一番使いやすいという状況になってくる可能性はあります。また、いまWeb会議ツールが一気に普及し始めたことで、今まで皆が意識していなかった不便さが顕在化してその問題を解決する画期的なツールが出現した場合にはそちらに一気に流れる可能性もあります。
今のところは、プログラムのインストールが必要か不要か(Zoomは必要ですが)、録画できるか、画質・音質等で多少差別化はあるかもしれませんが大きな差はないという印象です。TeamsやChatWork等ビジネスチャットとWeb会議が両方できるツールもあり、そういった総合的なツールに発展して、別のツールでメジャーになったものがWeb会議についてもシェアを取るといった可能性も考えられます。