会計基準は一つではない
こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、会計基準についてご紹介させていただきます。
決算書の作成を税理士にお願いしている経営者の方は「うちの決算書は税理士にお願いしているから完璧だ」と考えていらっしゃる方が多いようです。しかし、税理士にお願いしているからと言って決算書が完璧とは限りません。というのも、税理士が作成する決算書は税務申告を行うために最も効率が良い形で作成されたものであり、税法に従っている場合がほとんどだからです。経営者が、「会計のことなんかさっぱりわからん」と決算書を経営意思決定に一切活用しないのであればそれで全く問題ありません。
税理士には経営者に会計の活用をアドバイスする会計コンサル的な要素も求められているのかもしれませんが、中小企業診断士の月額顧問料の平均が17万円(診断士手帳)という中、 月額顧問料が多くても5万円程度の税理士ではそこまでやっていては採算が取れないというのも現実としてあります。
決算書を事業承継やM&Aで会社を売る際の評価の算定根拠にする場合や、経営者が経営意思決定を行うために利用しようと考えた場合には、会計の共通規格ともいえる会計基準に沿った決算書に作成しなおさないと適切な判断ができません。この場合3つの会計基準のうち、どれかを選択する必要があります。
中小企業が参照すべき3つの会計基準
まず、一つ目は「一般に公正妥当と認められる会計基準」と言われる会計基準です。略してGAAP(Generally Accepted Accounting Principles)ともいわれる基準で、公認会計士の監査が義務付けられているような大企業が採用している会計基準です。この会計基準に沿って作成された決算書は上場にも耐えられる決算書になりますが、それだけ基準に従うための難易度も高く、経理担当者の負荷も高いです。
次に「中小企業の会計に関する指針」と言われるもので、GAAPに比べ簡略化された会計基準(指針)です。とはいえ、この指針を作成したのは日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された委員会であり、いわば会計の専門家集団が作成しているため、会計に疎い経営者ではこれでもハードルが高い指針と感じられるかもしれません。
そこでさらに簡略化されたものとして「中小企業の会計に関する基本要領」というものがあります。こちらは、中小企業団体、金融関係団体、企業会計基準委員会及び学識経験者が主体となって設置された「中小企業の会計に関する検討会」が、中小企業庁、金融庁及び法務省の協力のもと作成されたものです。つまり、会計の専門家集団ではなく実際に決算書を作成する会計についてあまり詳しくない人達も参加して作成された要領です。
会計を経営に生かしたい!という経営者の方はまず基本要領から始め、徐々に難易度の高い指針やGAAPと採用する会計基準のハードルを上げていくのがいいのかと思います。特にGAAPに従うとなるとそれなりの規模の経理部門が必要になってきます。
顧問税理士はいるけど、別途会計基準に沿った決算書を作る上でのコンサルティング、管理会計を導入するコンサルティングにご興味があればご相談ください。初回相談は無料です。