節税や税務について知りたい経営者の方向けの記事

「経費で落ちる」が節税になる2つのポイント

経費で落ちれば何でも節税なのか

「今年は結構利益が出たから、節税のために交際費を派手に使ってプラマイゼロにした」という個人事業主の方がいたとします。確かに税金を払う必要は無くなったのかもしれませんが、この事業からしか収入を得ていなかったとしたら、生活費が無くなってしまいます。

これが法人の場合であれば、給料として自分に支払うことによって法人の利益をプラマイゼロにして、生活費は給料として確保できます。しかし、給料を払いすぎると今度は給料をもらった個人の所得税率が上がってしまい、結果的に法人税として払っておいた方がよかったということになる場合もあります。給料は「経費で落とす」ということはできませんし、仮に落とせたとしてもプラマイゼロにしたら生活できない点は個人事業主と同じです。

こういったことからもわかるように、無駄遣いをして経費で落として節税するというのはあまり得策ではありません。無駄遣いした分手元からお金は消えてしまっており、その分払う税金も確かに減っていますが、資産として残すこともできなくなります。

「経費で落とす」が節税として有効になるためには、2つのポイントがあります。

ポイント①:その経費が、そもそも使うお金であること

例えば、料理研究家として収入を得ている個人事業主の方が、普段の食費については「日常生活の話だから」と経費にしていなかったとします。しかし、料理研究家なので、当然料理全般について何らかの気づきや工夫、また料理の練習という側面もあると思います。その分の毎日の食費を経費として落として収益と相殺するのは問題ないでしょう。

このように、使う必要のなかったお金を使うのではなく、どちらにしても使う必要のあるお金を、できるだけ経費として計上するというのがまずは節税の一番オーソドックスなポイントかと思います。

ポイント②:お金を払った際に経費になる一方で、簿外に資産として残る

もう一つは、実際には簿外で資産として残るものの経費計上可能な支出を利用する方法です。やり過ぎて禁じられた保険の節税商品もこのパターンの節税です。他にも国が準備している制度として、国民年金基金は年間81万6000円、小規模企業共済は年間84万円の経費計上が可能で、外部で積み立てられていき最終的には退職金として戻ってきます。

制度外で支出を簿外に資産として積み上げると脱税行為

このように、合法的に準備されている制度を利用した経費計上後の簿外資産の積み上げではなく、支出したように見せかけて経費計上しつつ、お金を隠しておくようなことをやると脱税になります。よく、地下室に金の延べ棒を隠して…みたいな話があったり、ネットで調べると画像が出てきたりしますがそれらは違法にこの経費計上➡簿外資産をやっているパターンです。金の延べ棒よりも小規模な手段として切手を購入して通信費として落としつつ、使わずに換金するというのも古典的な違法に簿外資産を手に入れる方法です。

戻ってくるときにも注意が必要

簿外に資産として積みあがってきたものがいずれ戻ってくるというパターンの場合、戻ってくる時に課税所得を増加させる効果があるため、結局そのタイミングで税金を取られてしまいます。もし、事業所得の経費として計上してその分の課税を免れていたとしても、事業所得として戻ってきてしまうとそのタイミングで課税さることになるため、課税のタイミングを遅らせただけで支払う税額は同じになってしまいます。法人に関しても、法人が保険に加入し、法人が保険金を受け取るのであれば、結局は法人の収益として計上され課税対象になってしまうため受け取るタイミングで計画的に赤字にするなどの方法を取らない限りは課税されるタイミングを遅らせたにすぎません。

保険の場合は、一時所得として戻ってくるのであれば課税所得は半分でいい事になります。退職所得として戻ってくる場合は、大幅な控除の後に半減することができ、そういった形で実際に手に入る金額よりも評価される金額が大幅に少なくなる場合はメリットがあります。