福利厚生費は給与の現物支給のようなことができる
こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では福利厚生費についてご紹介させていただきます。
「あらゆる領収書は経費で落とせる」という本を読んでいると、一人でやっている会社でも福利厚生費は利用でき、福利厚生費をうまく使うことで、従業員の給料を少なくし、その結果社会保険料や従業員の所得税を軽減できるし、会社の経費も増やせて節税になるという記載がありました。
なるほど、福利厚生費は会社から直接サービスやモノを提供してくれる業者に支払われるため、いったん従業員に所得として受け取られる給料よりも従業員まで含めた全体で考えると大きなメリットになります。
福利厚生費として使える内容は、社員旅行や懇親会、同好会や食事の補助など多岐にわたり、確かにうまく使っている会社と使えていない会社では経費に計上できる額はかなり違ってきそうです。
条件として、会社が直接取引をすることや、会社で働いている人全員に権利がいきわたることなどがあります。
一人の会社ならメリットも大きいが…
一人でやっている会社なり個人事業であれば、個人で行く旅行を「これは社員旅行で」という名目で福利厚生費にしたり、家族と食事に行った際の自分の分を補助として出したりと色々と出来そうです。
ところが、「福利厚生費は従業員のためのものであるため、一人(もしくは奥さんと二人とか)でやっている個人事業主や一人会社の人は利用できません」と言われています。
「あらゆる領収書は経費で落とせる」の著者は一人でも大丈夫と言っていたのに、ネットで調べるとほぼほぼ「一人の場合はダメ」という見解です。
どういうこと?と思い調べたところ、面白い事実がわかりました。
「一人は福利厚生費を使えない」には根拠がない
調べていたら、偶然著者のブログを発見し、著者が税務署に問い合わせた結果が載っていました。それを読むと、「一人だと福利厚生費を使えない」という見解には根拠条文や判例のようなものは無いとのことでした。それどころか、福利厚生費が何なのかの定義も無いようです。
じゃあ使ってもいいのか!というと、国税庁はダメだと考えているようで税務署に質問するとダメだといわれるみたいです。著者も全く納得していないものの、 最終的には使うのはやめた方がいいという結論になっていました(著書が間違っていると認めていました)。
それならタックスアンサーか何かで明文化して根拠を作ればいいのではと思うのですが、この「一人だとダメ」という話は色々と矛盾しています。まず、従業員がいれば社長も福利厚生の恩恵にあずかれます。「従業員のためだから」というのであれば、従業員がいようがいまいが、社長は対象から外してもらわなければ一人会社の社長は不公平です。
また、福利厚生費が何なのかの定義がないため、「従業員のための費用」という根拠が実はありません。だから従業員がいる社長は福利厚生費が使えるわけですが、一人会社が使えない理由がありません。もっとよくわからないのは、先ほどのブログによれば個人タクシー(当然一人の個人事業主でしょう)の場合は福利厚生費は使えるようなのです。
結局は、「建前上は矛盾するから明文化はできないけど、一人だとやりたい放題出来ちゃうからダメ」ということなのではないかと思います。これは逆に言うと、従業員がいる社長も当然に利用する程度の福利厚生費であれば見解を争う余地はあるということなのではないかと思います。まあ、せいぜい数万円程度の税額にそこまでやるのかという話ではありますが。
根拠が無くてもダメというような話が出てくると、いったい何を基準に判断すればいいのかよくわからないですが、課税の基準というのは思ったよりかなりあいまいに決められているものなのだということがわかり、興味深い内容でした。
先ほどご紹介した「あらゆる領収書は経費で落とせる」という書籍は2011年に出版されたもので、著者のブログの福利厚生費について質問した記事は2013年10月30日に投稿されたものでした。「いや、今は根拠ありますよ」というご指摘がありましたら訂正しますのでご連絡いただければ幸いです(私が調べた限りでは見つけられませんでした)。
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