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消費税はいろいろと問題を抱えています。今日、たまたま公認会計士の研修単位取得のためeLearningを聞いていたら消費税史のような研修があり、面白かったのでご紹介します。

本来は非常にシンプルなルールの消費税

消費税というのは本来非常にシンプルなルールの税金です。消費者から消費税を預かり、自分が支払った消費税を控除して国に納めるというだけです。

このルールだけであれば、いくら消費税を預かったのか、いくら消費税を支払ったのかを集計すれば簡単に納税できます。源泉所得税によく似たものになります。

たとえ物品ごとに税率が変わっても、免税のものや課税対象のものが混ざっても受け取った消費税はいくら、払った消費税はいくらというのがはっきりしていればいいということになります。

消費税は間接税といわれますが、この間接税というのはこうすることでどんなにお金持ちでも貧しくても公平に税負担をさせる税金です。

弱者に配慮した結果大きくゆがんだ税制

しかし、消費税導入当時、大きな政治的配慮が入ります。売上高が小さい(当時3千万円未満)の事業者には納税義務を課さないというルール、しかもその基準となる期間は現時点ではなく2年前というルールが設けられました。事務負担を軽減するためという名目でしたが、弱者救済というの発想がそもそも直接税的な発想です。間接税である消費税は消費者から税を預かるというものであったため間接税とは何かという理解が不足していた結果現在のような複雑怪奇な消費税制を生み出すベースをここで作ってしまいました。

このルールによって税制がゆがみ、「消費税還付スキーム」と言われる他国にはない不思議なスキームがはびこるようになりました。このゆがみを利用した課税回避は厳密には節税ではなく消費税制の欠陥です。

免税事業者といわる事業者の存在によって、国へ納付すべき税金が事業者に流れ込むことになり、払った消費税が国に納付されず、消費税を多く払った事業者は課税事業者として国から還付を受け、本来国に納付されるはずの消費税が事業者に流れ込むようになっています。

消費税が3%だった頃はまだそれでも影響が少ないものでした。しかし消費税が10%になった今、免税事業者は10%の利益を何の付加価値もなく手に入れられるようになっています。私もその恩恵を受けています。

税理士の損害賠償保障制度の最大の要因

このように、消費税の制度のゆがみを利用して大きく得ができるようになると、得ができなかった経営者は税理士を訴えるようになりました。消費税が導入されるようになって、税理士の損害賠償保障制度が充実しました。

これも、免税事業者、簡易課税事業者、本則課税事業者という複数の異なる立場の事業者があるせいで、届け出が必要になったり、届け出を忘れたりで損害賠償に発展する事態を生んでいます。これは本来の間接税の趣旨から外れた直接税的な発想で制度を設計してしまったがためです。

講師の方は「消費税納税義務者という言葉もよくない。消費税徴収義務者とか、源泉徴収のような考え方で進めておけばこのようなことにはならなかったのではないか」とおっしゃっていました。確かに源泉徴収を徴収しておいて納めなかったら脱税になるのに、消費税は免税事業者なら納めなくていいというのは不思議な話です。

対症療法的な改善により複雑怪奇になっていく消費税制

このゆがみを是正すべく様々な制度改正が行われましたが、この免税事業者、簡易課税事業者、本則課税事業者という3つの立場が存在している限り根本的に解決することはできません。

そればかりか、税理士でも把握するのが大変なつぎはぎだらけの複雑な制度になってきており、ますます訴訟リスクが高まっています。2023年からインボイス制度が導入されることにより、多少は改善するかもしれませんが、免税や簡易課税自体はなくならないため相変わらずイタチごっこは続くのではないかと思います。

消費税減税がいまいち盛り上がらない理由

皮肉なことに、この事実によって消費税の恩恵を受けてしまっている小規模な事業者が多数いるため、消費税減税について国に強いプレッシャーがかからなくなっています。本来の消費税の仕組みで動いていれば国にはもっと多くの消費税が納税された反面、現在のコロナ禍のような状況では国民総出で減税の声が上がったのではないかと思います。

シンプルになったらなったで弱者に重くのしかかる消費税負担はできることならなくなってほしいところですが、やるならやるでもっとシンプルに設計しなおす必要があります。


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