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グループ会社間で資金を融通するためにやり取りした債権債務

上場企業のような大きな会社ではあまり見られませんが、会計処理に関してあまりちゃんとしていない小規模企業では、資金の融通や節税目的で複数の会社間でキャッシュをやり取りしたりするのに、未収金や仮払金、立替金などの勘定科目を使って資金を渡したりするのを見かけます。

キャッシュが同程度行ったり来たりしているのであれば、それでも債権債務が相殺されていくと思いますが、たいていの場合資金が必要な会社と資金に余裕がある会社というのは決まっていて、資金に余裕がある会社から資金が必要な会社に一方的にキャッシュが動くため渡す側に債権が、もらう側に債務が積みあがっていきます。

しかし、いつまでたっても返すあてが無い資金を片方には債権、片方には債務が残り続けるのは非常に気持ちが悪いものがあります。やっている経営者自身はわ何とも思っていないのかもしれませんが、とても正規の簿記の原則に則った処理とは言えません。

税務調査が入った際も、こういった立替金や仮払金は「実質的にグループ会社への貸付ですよね。利息を計上してください」と言われてしまいます。利息は当然収益になるので課税される金額が増えてしまいます。

しかし簡単には相殺できない債権債務

「グループ会社で、株主は同じ経営者だから債権がある側が債権放棄して相殺するか」と思っても、そう簡単には行かない問題があります。債務を相殺してもらった方の会社には「債務免除益」という利益が出てしまうためです。利益が出るという事は課税されてしまいます。この債権債務の積み上げが大きくなっていればいるほど多額の債務免除益が生まれてしまい、多額の税金が課せられかねない事態になってしまいます。

一方で、債権を放棄した側は全額を損金にできるわけでは無く、寄附金扱いになります。寄付金は損金に限度額が設けられており、大体所得の2.5%、資本金等の額の2.5%の合計までしか損金にできません。つまり、債権債務を相殺してきれいにするには税負担を覚悟しなければいけないという事です。

債権債務を消滅させることができる適格合併

グループ会社を残した状態ではどうしても上記のように債権債務を相殺する際にデメリットがありますが、グループを再編して一つの会社に合併してしまうことで債権債務を課税を生じさせずに消滅させることができます。

これは、民法第520条の混同という状況を利用しています。

民法 第520条
債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

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合併によって二つの法人格が一つになり、債権債務が同一人に帰属することで債権を消滅させるというわけです。これは会社間で取引を行っているわけでは無いため、損金や益金といった課税所得の増減を生じさせません。

ただし、債権債務の金額に差異がある場合に注意

長い間資金のやり取りを繰り返していると、そのうち不明な差異が生じ始め理論上は一致しているはずの債権債務がズレている場合があります。この場合には、合併前に同額に合わせる必要があり、同額に合わせる過程で債務の方が大きければ債務を減らすために債務免除益が、債権の方が大きい場合には寄附金による債権の減少が必要になります。


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