独立開業を目指す公認会計士・税理士の方向けの記事

会計士が独立するとどういう経路で仕事が入ってくるのか

積極的な営業努力をしない場合の仕事の経路

開業して9ヵ月が経ち、もうすぐ退職して1年になろうとしています。今回は、独立を検討している公認会計士の方向けに、辞めるとどういう形で仕事が入ってくるのか書いてみようと思います。

正直なところ、私は営業活動が苦手で1年ぐらいは無収入になってもしょうがないという覚悟で独立しました。前職から仕事をもらえるあてもあまりなさそうでしたし、それ以外に仕事のあては全くありませんでした。今でも積極的に営業活動をしているわけでは無く、自然と入ってくる仕事で生活している状態です。

そのような状態でも、とりあえず生活できる程度には収入が確保できています。ボーナスが無いため総収入は退職時より少ないですが、毎月の収入は退職時より多いぐらいの水準です。繁忙期は平日は完全に埋まるぐらいの忙しさでしたが、それ以外は週3~4日、1日拘束される仕事がある感じでそれ以外は家で作業をしています。なんらかやることがあり、週末も仕事をしていることが多く、逆に平日暇なこともあり、曜日の感覚があまりありません。

そんな程度の駆け出しの個人事務所の仕事の入手経路です。

仕事の依頼は基本的には知り合い経由

仕事の恐らく9割は、知り合いからの依頼です。メール、Facebookのメッセージ、Line、電話と形は様々ですが、最初のきっかけは知り合いが連絡してくるという形です。知り合いが直接仕事を発注したくて連絡してくるというケースは比較的珍しく、その知り合いが受けきれない仕事を代わりに受けるというパターンが多いと思います。

この受けきれないというのにも3つのパターンがあります。

①仕事の量が多すぎて一人では受けきれない

仕事の規模が大きすぎて一人でできないから手伝って欲しいというパターンです。監査の手伝いはこのパターンだと思います。このパターンは知り合いと同じ条件で仕事をさせてもらえるうえに、ある程度ボリュームがあります。しかし、主導権は自分にはないため、将来的には自分がまず仕事を受けて周りに助けを求める形にならないといけないのではないかと思っています。しかし、独立当初は重要な収入源です。

②自分でも能力的にはできるけど忙しすぎてできない

これは、その知り合いが仕事の発注を受けたものの、忙しすぎて受けられないため、断るよりは誰かに振った方がいいだろうという事で依頼されるパターンです。このパターンは、本当に割のいい仕事なら忙しくても自分で受けるでしょうから、①のパターンに比べてある程度大変で、割に合わないことは覚悟する必要があります。ただ、こういう仕事を受けてがんばって評価してもらい、独自につながりを増やしていくことは重要なのではないかと思います。

また、あまり期待してはいけないと思いますが、本当にいい人だったり、優秀な人でもっと割のいい仕事をしていて、私にとっては割のいい仕事を回してくれるパターンもあります。

③自分にはできないから

「こういうことできないか?」と誰かに相談を受けて、自分ではできないけど、私ならできるのではないかと相談が来るケースです。このケースは、結構難しいことが多く、なかなか上手くヒットしませんが、上手くかみ合えば差別化が図れる要素です。

こういったいろいろなパターンで連絡が突然来るケースがほとんどです。このことから、「自分は積極的に営業するのが苦手で…」という人が待ちの姿勢で仕事を待つためには3つの重要なポイントがあります。

①仕事を紹介してくれそうな知り合いの数を増やす

まず量の問題です。知り合いをできるだけ増やしておく必要があります。辞める前から特に独立した知り合いに連絡を取り、独立の相談にのってもらったり、退職した上司にあたる方に話をしたりといったことは重要かと思います。また経験上古い友人が一番頼りになるので、しばらく連絡を取っていない古い友人がいたらやめる前に挨拶がてら飲みに行ったりするのもいいのではないかと思います。

②親身になってもらうよう日頃の行いに気を付ける

次に質の問題です。知り合いがいかに多くても、「この人のために親身になってあげよう」と思ってもらえるかどうかは日頃の相手に対する姿勢にかかっています。相手に何か困ったことがあればできるだけ力になれるよう努力をし、相手をリスペクトする姿勢が無ければ逆にこちらに対してそのような態度を取ってもらえることはまずありえません。こちらが頑張っても相手から感謝されないことはあっても、こちらが頑張ってないのに相手から感謝されるという事は絶対にないので「情けは人の為ならず」の精神で日頃から誠実な対応が重要になります。

③押したり引いたりしない

これは、仕事をくれと相手にプレッシャーをかけたり、逆にお願いされているのに、忙しぶったり、「おいしくないかも」と変な打算で、受けられるのに断ったりしないということです。あくまで、相手が本当に必要な時に必要な力を貸すという精神です。ただ押さないといっても、「最近こういうことをやっていて」とか「こういう面白い話があって」みたいな世間話的に仕事の話をして、興味があったら(興味を持ってそうな人がいたら)教えて、みたいな感じでさりげなく話をするのは大事だと思います。

全く関係ないところからの仕事

ほとんどが紹介ルートによる仕事ですが、まったく今まで面識がなかった方から仕事が依頼されることも稀にあります。最近では、持続化給付金の収入申立書の確認業務は、全く面識がない方から依頼が来ます。このブログ経由の仕事はそれぐらいですが、ブログを開設していなかったらそんな依頼は無かったと思うので、これはブログ開設の効果だと思います。

もう一つは、freeeの税理士募集の問い合わせやTKCのスタートアップカフェ相談員経由で税理士を探されている方と出会う機会があるため、そういったところから税理士の契約につながることがあります。

最近では、公認会計士として独立した後「税務は一切やらない」という会計士も増えてきているようなので、各人の方向性によっても動き方が変わってくるのではないかと思います。