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2000年頃に流行ったビジネス書

まだ新卒のサラリーマンだった頃、「チーズはどこへ消えた?」という本が流行りました。いまだにAmazonなどで度々見かけますが、当時もよく売れていた本だと思います。短くてすぐ読める、人生における心構えを寓話にしたものです。

最近、あの当時流行った7つの習慣やザ・ゴールといった書籍が手を変え品を変え出てきているので、また何か別の形で出版されるかもしれません。

既得権益が失われた後の行動

この話の詳細はもう数十年前なので覚えていませんが、事の発端はいつもチーズがあった場所からチーズが無くなってしまったということです。

たしか、大きなチーズの塊が置いてある場所にネズミが日々チーズを食べに来ていたのですが、ある日突然かずっと食べ続けていたせいなのか忘れましたが、ある日チーズが無くなってしまいます。

ネズミのうち、あるネズミは「またチーズが置かれるかもしれない」と同じ場所に居続けます。また別のネズミは「もうチーズは無くなってしまったんだ」とチーズを探しに別の場所に旅立ちます。

で教訓としては、いつまでも過去のチーズ(幸せ?)にしがみついているのではなく、自らの力で新たな幸せを見つけに行かなくてはならないということで、旅立ったネズミたちが正しい行動を取ったという話です。

何が旅立ちなのか

この話を読んで、私は「なるほど、あーだこーだ上司に文句を言っても始まらない。不満を解消したければ自ら行動せねば」と思いました。当時は新入社員で理不尽なことを言われることも多く、同期同士でよく愚痴を言っていましたが、それではいけないのだと思いました。ちなみに私の最初にいた会社は小さな規模から急速に拡大し始めていた外資系のコンサルティングファームだったので、まだ小さい規模の頃の風通しのよさがあり、上司とは比較的フラットな関係で、新入社員の文句を聞いてくれたりしていました。

短い本ですし、同期の多くはこの本を読んでいたので、そんな話を同期としていたら、ほぼみんな私と似たような意見でしたが、一人「そうじゃない」という意見がありました「上司にあーだこーだ文句を言うのは、現状を改善しようという気持ちの表れだ。それこそが、チーズを探しに旅に出るということだ」というのです。

私は「上司に文句を言うのではなく、自ら解決策を見出し解決する」というのを「チーズを探しに旅に出る」ことだと感じたのに対し、その同期は「上司に文句を言う(改善を要求する)」ことこそが「チーズを探しに旅に出る」ことだと感じていました。

私は、「それでは他力本願で自分でコントロールできないじゃないか、つまりチーズがまた来ないかと待っているのと同じじゃないか」と思いましたが、その同期は自分の考えを変えるつもりはないようでした。

そして20年後…

こうして、20年経ち、その同期は不幸になり、私は幸せになりました。めでたしめでたし…となったと思うでしょうか。

その同期は今でも会社に残りパートナーという取締役のような立場になりました。私はその後会社を去り、公認会計士となり大手監査法人に勤務した後、独立して個人事務所を設立しました。

同期は今では誰よりも出世したことになります。こうして結果を振り返ってみると、彼が言っていたことは、あながち間違っていなかったのかもしれないと感じました。

組織では人に動いてもらわなければならない

これは、私より彼の方が正しかったという事を言っているわけではありません。私は個人の会計事務所という自由な環境を自ら選択したのであって、その選択を全く後悔していません。

外に出てみると、会社勤めだったら生涯なかったであろう色々な出会いがあり、日々の生活を成り立たせなければならないというプレッシャーを感じつつも充実した日々を送っています。そして、このように「会社を離れて個人事務所を設立する」という事が私にとって「チーズを探しに旅に出た」という事になり、20年前に感じた通りに生きているという事です。

一方で、その同期はその後も社内で自分の要求を様々な人に伝え、人を動かし、成果を上げていったのだと思います。その「現状をよりよくするために人を動かす」というのはまさに組織で動くためには必要な要素で、それが20年前に本人が信じていた「チーズを探しに旅に出る」行為だったのだと思います。

社会に出ると何が正解かわからない

結論としては「正解はない」という事です。強いて言えば、自分が信じる道に向かって努力しつづけることが大事だということでしょうか。結果的にそれがよかったのか悪かったのかは、死に際して人生を振り返った時にしかわかりません。そして傍から見たら不幸に見えるかもしれないけど、本人にとっては幸せだったり、その逆もしかりで、どう感じたのかは本人にしかわかりません。

何がチーズで何が旅なのか、解釈を間違えたら不幸になるのか、行動が間違っていたら不幸になるのか、運が悪かったら不幸になるのか。「チーズはどこに消えた?」は非常に短い本でしたが、仲がいい同期との昔話を思い出す印象深い作品です。


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