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劣化を金額に反映する減価償却費

減価償却費というのは、固定資産を購入した時に支払ったタイミングで一気に費用計上するのではなく使用する期間に案分して少しづつ費用計上しようという考え方です。もし、使用する期間が終了したら同額で同じものを買わなければ事業が成り立たない場合、減価償却費と同額のお金をプールしておかなければ使用期間が終了した時に借入をしないと事業継続が不可能になります。

そういう意味で減価償却費というのは、「この金額を含めて黒字化していなければ事業継続が危ういですよ」という経営上重要な情報になります。別の見方をすれば減価償却費はすでに昔に支払は終わっているものなのでキャッシュの減少を伴わず、資金繰り的にはただちに立ち行かなくなるというわけでは無いものになります。

物は劣化していくという前提で、劣化を金額で反映する減価償却費という考え方ですが、全てのものは劣化するのでしょうか。

美術品は劣化しない

バイオリンは税法上は楽器にあたり、新品の楽器は耐用年数5年、中古品であれば中古品の耐用年数のルールに従いますが、一番短いケースで2年で償却されます。

昨年6月に、有名なバイオリン「ストラディバリウス」を減価償却したとして、国税局から申告漏れを指摘されるという事件がありました。ストラディバリウスはバイオリンで、中古品なので2年で償却できると考えたのだと思います。

1億円だったとすると、年間5,000万円の経費計上になります。法人税でも所得税でも数千万円規模の課税を逃れることができます。が、数百年たっても億単位の価値を持っているストラディバリウスが2年で無価値になるというのは無理があります。この辺は、考えればわかると思いますが盲目的にバイオリンだから減価償却できると考えてしまったのだと思います。

ストラディバリウスはバイオリンではありますが、それ以前に美術品です。美術品は時の経過とともに価値が失われることは無く、どちらかと言えば価値が上がっていくものであるため、減価償却してはいけないことになっています。減価償却してはいけない固定資産で一番メジャーなものは土地ですが、美術品も土地同様減価償却されない固定資産です。

減価償却ってそもそも何なのかというのを忘れてしまうと、この事件のようにおかしな処理をしてしまうため注意が必要です。

償却後も資産価値が残る資産

ストラディバリウスは論外でしたが、資産の中には耐用年数を過ぎたあとも無価値にならずある程度資産価値を残している資産があります。例えば高級車は、通常の車同様劣化するため耐用年数に応じて減価償却が必要です。新車の普通車であれば6年、中古車であれば最短2年です。しかし、高級車は値崩れしにくく、中古車として高額で引き取ってもらえるケースがあります。

そうなると、経費計上した資産が、実際には無価値になっていないことになります。その高級車を売却すると売却益が生じ、そのタイミングで課税されます。しかし、業績がいい年に高級車を購入し、減価償却費を計上して利益と相殺しつつ、業績が悪く赤字になった年に高級車を売却すると今度は赤字と相殺されることになります。このように利益を生むタイミングをずらすという効果は、黒字と赤字を繰り返すような事業では利益を平準化することになります。

生命保険もこの利益の平準化を目的として販売されているものがありますが、昨年のバレンタインショックで利益平準化目的の保険商品は大幅に制限されることになりました。

10年連続黒字を継続できる企業というのは、15%程度であり、85%は10年間の間に1度は赤字を経験するそうです。利益を平準化させる機能は、常時黒字の企業では関係ありませんが、赤字が普通に発生する企業では意味が出てきます。


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