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父の会社を見ていて思うこと

私の父は団塊の世代で、71になりました。まだ現役で建築会社を経営していますが、長男の私は全く違う仕事に就いており、継ぐつもりはありません。父も別に継いでもらいたいとは思っていないようで、事業承継についてあまり深く考えたことはありませんでした。

しかし、ここに来て昨年母が亡くなり、ふと人生には必ず終わりが来るということを家族皆が実感することになりました。父の会社は父≒会社と言っても過言ではなく、従業員も一応いますが、とても後継者候補になるような雰囲気ではなく、また株式を承継する資力もありません。

会社の資産の大半は現金でリスクを恐れて、ひたすらキャッシュの状態で 投資せずにいた結果なのだと思います。相続人の立場からすればそういう会社の方が、解体すれば現金が手に入るので楽です。しかし、「この会社の本当の価値の源泉は」と考えると、仕事を獲得し処理するノウハウの部分で、その部分は今のところ父の頭の中にしかないという状況です。

つまり、現状では父の死とともにきれいさっぱり失われてしまいます。

必要なのは会社のソフトウェアの受け皿

事業を承継するにせよ、承継する人がいなくてM&Aを行うにせよ、本当に必要な部分は、この社長の頭の中を引き継ぐ人間なのではないかと思います。事業承継は否が応でもその会社のソフトウェアの引継ぎを行うことになりますが、M&Aになってくると、即使えるように買うイメージなので、ノウハウをじっくり引き継ぐ暇のようなものは無いと思います。しかし、ソフトウェアを引き継ぐ人材を買収時に準備出来ていなければ、うちの父の会社のような所を買っても、現金で現金を買うような話になってしまうのではないでしょうか。

相続の問題も本質的には同じ

相続の時、どうしても相続財産、相続税等々金銭価値の方に目が行ってしまいますが、私は家族の相続についても本当に大事なのはソフトウェアを引き継ぐことなのではないかと思っています。

ユダヤ人はよくお金持ちと言われますが、ユダヤ人ほど迫害の歴を歩んだ民族も珍しく、恐らく何度も財産を没収されてきたのではないでしょうか。そんなユダヤ人が本当にお金持ちが多いとすると、それはユダヤ人が財産を引き継いできたからではなく、「どうすれば少ない元手を大きく増やせるか」というノウハウを先祖代々継承してきたからなのではないかと思っています。

お金・財産そのものを次の世代に引き継ぐと、次の代の「お金を殖やす能力」は弱まってしまいます。努力せずに財産が手に入ってしまうために努力する機会を逸してしまうためです。

一方で、お金・財産ではなく、どうすればお金・財産を殖やせるのかという知識を次の世代に引き継ぐと、引き継がれた知識に新たな経験を踏まえた改良がなされ、それを次の世代に引き継いで…とお金を殖やす能力が進化していくことになります。まさに、私がコンサルタントになりたての頃によく言われた「魚を与えるな、魚の釣り方を与えよ」です。

父にはある程度財産がありますが、出来ることなら自分で稼いだお金については亡くなるまでに好きなことを好きなだけやって、どんどん使って欲しいと思います。


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