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分析の基本は比較すること

「会計で会社を強くする」必要な○○と3つの重要性という記事で、会計情報というのは目標とするあるべき会計情報と比較しなければ意味が無いという話を書きましたが、目標を設定するにあたってやみくもに高い目標を掲げても非現実的です。他を圧倒する戦略があるのであれば話は別ですが、みんなと同じように頑張るしかない場合には、同業他社比較は有用だと思います。

しかし、四半期ごとに財務諸表を公表する上場企業ならまだしも、中小企業の中で同業他社の情報を入手することは困難です。その同業他社比較を比較的容易にできるようにしているツールが経産省からでているローカルベンチマークツール、通称ロカベンです。

中身は関数が入っているExcelですが、業種ごとに平均値を出して自社のデータと比較し、採点してくれます。法人税の申告書のデータがあれば作成できる程度の簡単さで同業他社に比べて自分の立ち位置がわかりやすくなります。売上持続性・収益性・生産性・健全性・効率性・安全性という6つの指標でレーダーチャートが作られ、それっぽく見えます。

また定性的な情報整理用のフォーマットも用意されており、業務フローや取引先の差別化のポイントや選定理由の明確化、4つの視点での現状把握・課題整理など、使い方は人によって差が出そうですが抑えるべきポイントが明示されているのでとりあえず何から考えたらいいのかわからないといった場合には有用だと思います。

財務分析はある程度軌道に乗っている企業用

ただ、3期分のデータを入力できるようになっていることや、業種の平均値を出していることからもわかる通り財務データの分析についてはその業界である程度の実績がある企業でなければ役に立たないと思います。役に立たないというか、レーダーチャートが参考にならないと思います。起業したばかりで売上が急成長中の企業だと、まず3期分のデータが安定していないでしょうし、売上持続性だけ突出して他が低かったとしても仕方が無かったりと歪な形になるのが普通です。

財務分析はある程度データが蓄積されてきて初めて時系列比較も企業の特徴も明らかになってくるため、このロカベンに限らずできたばかりの企業は財務を分析するためのデータをできるだけ分析しやすいように正確に記録することに注力するしかありません。

レーダーチャートをきれいな六角形にすることが目的ではない

レーダーチャートを見ていると、オール5点にしてきれいな六角形にしたくなってきますが、レーダーチャートは弱点や強みを把握するために利用すべきで、きれいな六角形を目標にすべきではありません。

なぜなら弱点を補強することが強みを失うことにつながる可能性もあるからです。ここで定性的な差別化要因の分析が活きてきます。自分の企業の成功要因がどのようなストーリーの上で成り立っているのかを把握すると、当然にレーダーチャートが正六角形にならないかもしれません。

リードタイム短縮に成功したガリバーは、低い粗利で在庫を高回転させることで競争優位を築いているため、収益性を司る営業利益率は他社比較で低い可能性があります。そこで収益性を改善するために消費者への販売へ方針を転換したら元の木阿弥、せっかくブルーオーシャンにいたのにレッドオーシャンへ飛び込んでしまい有象無象の中古車販売業者に成り下がってしまうかもしれません。個人的には、よくニュースで話題になる大塚家具はこの罠に嵌ってしまい急速に業績を悪化させてしまったのではないかと思います。


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