組織を運営する上で必要な情報とは
会計事務所のような労働集約的なビジネスで経営意思決定を行う上で、課題を発見して改善を行うために必要な情報として、「予定通りに物事が進行しているか」という情報と、「その業務は採算が取れているのか」という情報があります。予定通り物事が進行していれば、当初の見積もりに間違いが無ければ必然的に採算が取れているはずですが、往々にして物事は予定通りにいかず、したがって採算ラインについての検討も必要になります。
一人で運営している個人事務所では、予定通りに物事が進行しているかどうかは、やっている本人のことなので理由も含めてわかりますが、これが組織が大きくなってくると遅れているのかいないのか、何が原因で遅れているのかといったところは本人以外にはわからず、組織としてはギリギリになって気が付くといったことが起こりえます。そこで、困っている時はホウレンソウでなど、情報伝達を促すことがよく言われますが、ただでさえトラブルが発生して時間が無い時で、報告や相談をするのを忘れてしまうというのはよくあると思います。
そこで、プッシュ型の報告に期待せずに各フェーズごとに業務の完了予定日を設定して、完了予定日を守れているか、遅れているとしたらどういった理由からで、どの程度遅れそうか、それによって追加工数が発生したとすると採算ラインは割れていないかといったことをモニタリングする必要があります。
モニタリングした結果、どうしようもない理由で遅れ、追加工数が発生した結果採算ラインを割れているのだとすると当初の見積もりが甘く、その業務はその報酬額ではできない業務だったという事になります。次回以降は報酬交渉を行い、価格改定を依頼するか、それが不可能なら何とかして工数を減らす方策を検討する必要があります。
重要なその後の効果検証
よくあるパターンは、業務完了後に反省や改善点を話したり報告書にまとめたりするものの、その時だけでその通りに改善したかどうかは確認されることは無く、次の業務が始まるというパターンです。
会計事務所の業務のように、比較的同じ業務の繰り返しで日々進んでいく場合には、前回の反省を生かした改善は効果を表しやすく、通常は報酬の改定は難しいため、内部的に工数を削減していき生産性を上げていくという事を真剣に検討する価値が高い業務と言えます。
一方で、コンサルティング業務のように毎回テーマや課題が異なるなどで前回のやり方通りというのが通用しない業務に関しては工数を削減した生産性の改善は難しく、むしろ毎回内容が異なることから、当初見積もりの精度を上げて適正な報酬を算定して交渉するという点の方が重要になります。
情報をモニタリングするためのシステム化
情報をモニタリングするために、例えば「メールで報告」「Excelに記入」といったことをやろうとすると、書き方や記載のタイミングがバラバラになったり、忘れたりして、集計も難しく見える化が困難になります。こういった情報を管理するためには、何等か毎日記入するという習慣化が重要になり、記入がされていなければアラートが出るような仕組みが必要になってきます。