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仕事が減って収益性が上がった?個人事業の不思議

意外と現状を生き抜いている個人事業主の友人

個人事業主歴10年ぐらいの友人がいまだに白色申告で経理に関しても全く理解が無いようだったので、freeeを勧めてみました。経費の計算もExcel、申告もいまだに終わっていないとのことで、ある程度稼げている個人事業主を10年も続けているのに信じられない状況のため、高価な会計ソフトを入れろとは言いませんがとりあえず無料でも試すといいと思います。

ちなみに、近い関係過ぎると顧問税理士になるのははばかられます。相手の懐事情がこちらに明らかになるうえ、利害関係も生まれてしまうため友人関係が崩れかねません。もしくは、友人だからとなあなあになってしまい、サービス提供がいい加減になる可能性などのリスクもあります。やるとなれば緊張感を持ってやりたいとは思いますが、相手が望まない限りは控えようと思っています。これは親類なども同じ理由で、世間話的にアドバイス自体は積極的にしたいと思いますが、こちらから積極的に営業活動を行う気はありません。

そんな友人と話をしていて、イベントの映像関係の仕事のためさぞ今は大変なことになっているだろうと思っていましたが、意外と平気そうでした。確かに、本来やっていた仕事は激減していたのですが、自分一人が生活していくぐらいの小さな仕事は普通に発生しており、生活自体はそれほど困っている様子はありませんでした。もともとは、結婚式などのイベントでカメラマンを外注しながら仕事を回すのが普通のようですが、自分一人でもできる仕事というのも常に依頼が来ていたそうで、今まではそういった仕事はむしろ厄介事という意識で納期は遅れに遅れていたそうです。ここにきて本来の仕事が無くなったことでそういった仕事をこなすことができるようになり、短納期で仕事を処理していけるようになった結果、それらの仕事から入ってくる収入が増えたということでした。そういった仕事は一人でできる規模なので当然小さいのですが、一人でやるため売上は自分一人に入ってくるので、ほぼ全額が利益になります。

むしろ壊滅的な打撃を受けているのは外注を受けていたカメラマンで、外注に頼りきっていたら収入が途絶えていることになります。この点、友人はカメラマンを自社で抱えて規模を大きくしていくこともできたのですが、頑なに従業員を雇わないというスタイルにこだわっていました。そうすることで高額の外注費をカメラマンに支払い、得られなかった利益もたくさんあったと思いますが、今回はそのスタイルが本人を救った結果になっています。

一人でやるスタイルと従業員を雇うスタイルの大きな分岐点

ある程度、信用が積みあがっていき仕事が堅調に増えて言った場合、やがて一人で捌ける範囲以上の仕事は断るのか、人を雇って増えていく仕事をこなせる状況を作っていくのか、人に外注して増えていく仕事をこなせる状況を作っていくのか判断を迫られる時が来ます。これらの判断は、どれか一つというわけでもなく、複合的になります。人も雇うし外注もする、特定の仕事に特化して他は断るなど、自分の会社をどうしていきたいかをはっきりさせる必要が出てきます。

しかし、そういった複合的な判断の中でも「人を雇うか、雇わないか」というのは最も大きな分岐点だと思います。人を雇うというのは、その人の人生のリスクまで経営者が負うという事であり、その分安価に労働力を手に入れられるというメリットがあります。一方で、同じことを外注で賄うというのは、高価になる反面、雇用の責任はなく、こういう状況に陥った時に負担が少なくなるというメリットがあります。こう考えるとリスクとリターンの関係はやはり対応していて、高いリスクは高いリターンを得られ、低いリスクは低いリターンが得られるということが分かります。