雇用保険は主に失業手当をもらうために加入する必要があるものですが、加入の要件として週20時間以上の所定労働時間が必要です。「労働条件が変更になって、週20時間未満になっていたことに最近気づいたのですが…」という質問をいただいたのでそういう場合どうすればいいのか解説します。
雇用保険は資格喪失届を出さないと喪失しない
雇用保険の管轄は失業手当をもらうための保険であることからもわかる通りハローワークです。ハローワークは各社の従業員が週何時間働くようになっているのかいちいち把握することはできません。
労働条件についての契約も書面ではなく口頭でも可能であるため検証する方法がありません。大企業であればちゃんと書面を取り交わしているでしょうが、中小企業、小規模事業者になってくるときちんとできていないところの方が多いでしょう。
そこで条件が変わったことは企業の方から伝えなければならず、雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。
うっかり半年放置してしまったのですが…
うっかり要件から外れて数か月放置してしまった場合、さかのぼって資格喪失届を提出することは可能です。この場合、従業員から徴収している雇用保険料についてもさかのぼって返却する必要があります。また、国からの資格喪失後の返却については、お金が戻ってくるのではなく次年度の概算納付の際に納付額を減らすことで調整することになります。
半年どころか数年放置してしまっていて…
数年放置してしまった場合、国に還付請求を行う必要があります。しかし、国に還付請求を行うことで、国から杜撰な管理を疑われ調査が入る可能性が高まります。これはハローワークの「面倒なことをするな」という脅しの意味もあると思いますが、雇用保険は金額も小さいですし、藪蛇にならないよう還付請求まではやらない方がいいかもしれません。
雇用保険の資格喪失は失業手当の資格喪失
雇用保険の資格喪失は雇用保険料を納付する必要がなくなるというメリットがあると同時に、失業手当をもらえなくなるというデメリットがあります。そもそも、週20時間未満というのはパート・アルバイトの方でしょうからそういった手続きに無頓着で、もらえること自体を知らずにスルーする可能性がありますが、もらいたい人にとっては残念な結果になります。
雇用保険料は月々数百円程度の負担で入ることができるので、失業手当をもらえる見込みが高いのであれば入っていた方が従業員的には得です。経営者はどちらにしても自分の懐にはお金が入ってくることはないため、あまりメリットはないかもしれません。
こういった質問は直接ハローワークに問い合わせた方が確実かと思いますが、こういった質問を含めて全般的な税務・経営に関する質問は随時受け付けております。初回の簡単な相談は無料ですのでezakitakakazu.office@gmail.comまでいつでもご連絡いただければと思います。