婚礼業界を直撃した新型コロナウイルス
新型コロナウイルスによってさまざまな業界が大きなダメージを負いましたが、特に婚礼業界はかなり深刻です。生活様式まで変えるという話になってくると、仮にコロナウイルスがこの世から無くなっても今まで通りの婚礼が難しくなります。第二第三のコロナウイルスの可能性を考えると一堂に大人数が会するというのはできるだけ避ける方向になり、結婚式を上げずに結婚する人も増えるのではないでしょうか。
そんな中、私の友人でエンドロールなどを制作する事業を行っている社長も婚礼関係の仕事が文字通り消滅してしまいました。一人個人事業主でカメラマンはすべて外注というスタイルだったため、人件費の負担はありませんでしたが友人の仕事を当てにしていたカメラマンは軒並み稼働が無くなり、自宅待機の日々を送っているか別のアルバイトをしているようです。
そんな中、友人は大手の結婚式場に「コロナ後の対応状況をイメージ映像として制作してみませんか」とかオープンキャンパスができなくなった大学に「映像でオープンキャンパスの内容を伝えませんか」と営業をかけ、全く違う角度から仕事を獲得していっているようです。
普通の発想だと、この状況だから仕方がないと自粛してしまいそうなものですが、友人は緊急事態宣言中も相変わらず忙しそうでした。壊滅的な打撃を受けた婚礼業界の一角にいる業者でここまで忙しそうにしているのは珍しいと思います。
皆が動いていない今がチャンスという発想
友人は大手に食い込む機会を虎視眈々と狙っており、コロナが流行りだした2月にはすでにこの状況が長期化すると読んでいました。2月当初に、「7月までは覚悟している」と言っていて、私は2月の段階では3月末ぐらいには何とかなっているだろうという感覚だったため驚いた覚えがあります。結果7月にディズニーランドが再開し、再び活気が戻りつつあります(新規感染者の増加が気になるところですが)。
このように先読みできていたため、動くのも早く2月には婚礼に頼らない策を考えていたようです。3月末には何とかなっているのではと思っている人が大半だった2月の時点で、7月までは間違いなく何ともならないという感覚があれば当然普通の人と動き方が変わってくると思います。
こうして、競合他社が思考停止状態に陥った隙をついて、コロナ後を見据えた営業を行い5番手、6番手扱いが当たり前の大手にアピールして食い込んでいこうとする逞しさは、さすが10年以上も好業績を維持し続けた事業主だと思います。
そんな彼も読み切れていなかったのが「生活様式まで変わる」という事でした。婚礼業界自体の存在意義が問われる事態に陥ってしまったら、いくら大手に食い込んでも意味がありません。話をしていても、この業界の尋常じゃない危機感が伝わってきます。
影響は波紋のように
私のいる監査業界・税理士業界は今のところそれほど深刻な影響はありません。しかし、先日薬局の方が、「病院の業績が悪化した結果、遅れて薬が売れなくなってきている」という話をしていました。
これはつまり、直撃を受けた業界がまず深刻なダメージを受け、その業界を中心に周辺にいる業界が時間差で影響を受け、水に落ちた石が波紋を広げるように周囲に影響が広がっていくという事を示しています。
これが、税金を使ってでもダメージを受けた業界を救わなければならない理由でもあります。その業界を助けることは巡り巡って自分を助けることになります。
新型コロナウイルスが与える経済的な影響については今後も注視したいと思います。