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トヨタ生産方式と制約理論の概要

「労少なく功多し」を突き詰めていった考え方

こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では私のコンサルティングのベースとなっているトヨタ生産方式や制約理論の考え方についてご紹介させていただきます。

「労少なく功最大に」「最小の労力で最大の効果」「部分最適ではなく全体最適」こういったフレーズは経営を行う上で耳にする機会は多いと思います。しかし、具体的にどうすればそうなるのかについては漠然としていて、「このシステムを導入すれば!」とか、「業務改善を行うことによって!」とか因果関係があまりはっきりしないスローガンのようなものでごまかされてしまうことも多々あります。

トヨタ生産方式や、トヨタ生産方式をヒントに発展した制約理論といった考え方は、具体的にどうなると最小の労力で最大の効果があげられるのか、どうすれば部分最適ではなく全体最適になるのかといったことを真剣に考えた結果生まれたものです。

トヨタ生産方式の考え方

トヨタ生産方式は、大野耐一氏が開発した生産方式で、「必要なものを、必要な時に、必要なだけ、できるだけ安く」生産する方法です。この生産方式により、最低限の在庫で最短のリードタイムを実現しようとします。

最大の敵は「作りすぎのムダ」

トヨタ生産方式はムダをなくすことを第一に考えていますが、中でも作りすぎるムダを一番敵視しています。これは、「従業員や機械が遊んでいるからと言って、作る必要が無い仕掛品や製品を作ってはいけない」ということです。

従業員や機械が遊んでいたらそれこそムダなんじゃないかと思ってしまいますが、この「すべてのリソースが遊んでいる時間が無いようにする」というのが部分最適で、作りすぎのムダを生む要因になります。「リソースが遊んでいても現時点で必要とされていないものは作らない」というのが全体最適です。

この点は大野耐一氏も「自分もよく勘違いしてしまう」と言っていって、おそらく多くの人が誤解しているところで、「作らなければいけないものだけ作る」ということに集中していくと、いたるところで手が空く人や機械が生まれます。それが正常な状態(全体最適の状態)なのですが、真面目な人ほどサボっていると思ってしまうのか何かしようとしてしまいます。そして徐々に部分最適の状態になっていってしまいます。

全体最適と部分最適は相反するもので、「全ての部分が部分最適になれば全体最適になる」ということはありません。この辺りも、結構誤解しているというか無意識にそのように感じている人がいるように思います。

全体最適をより分かりやすく解き明かした「制約理論」

トヨタ生産方式は作りすぎのムダを排除し「いっそ遊んどってくれた方が会社は儲かる(大野耐一氏)」という発想で、必要なタイミングで必要なものを必要なだけ作るためにカンバンという連絡票を編み出しました。

制約理論というのは、ザ・ゴールというビジネス小説で有名なエリヤフ・ゴールドラット氏が提唱した、「すべてのリソースを制約リソースに従わせる」という発想です。

トヨタ生産方式は石油ショックによって物が売れなくなった時代に「販売できる製品だけを作る」と、いわば市場が制約になったケースを考えました。制約理論はその考え方を発展させ、市場以外の所が制約になったとしても、制約にすべてを従わせることによって全体最適を実現し、最小の労力で最大の効果を上げることができると考えました。この制約が生産ライン上の物理的なものの場合「ボトルネック・リソース」と呼ばれ、制約理論が流行った時期にボトルネックという言葉が多用されていました。

ザ・ゴールが日本で発売された当初、制約理論に興味を持った人の間で「制約理論はトヨタ生産方式と違う、トヨタ生産方式より優れている」「いや、トヨタ生産方式のパクリだ」と議論がありましたが、その後エリヤフ・ゴールドラット氏の著書が多数出版され、その中で大野耐一氏の考え方を参考にしたという話が出てきて、トヨタ生産方式をベースに独自に理論を構築したということがわかりました。

最近、大野耐一氏の「モノづくりの真髄」という講演を聞いていますが、その話を聞けば聞くほどエリヤフ・ゴールドラット氏はこの話を聞いたのだろうと思うところがいたるところに出てきます。

今回はトヨタ生産方式と制約理論のほんのさわりの部分をご紹介しましたが、具体的な適用の例などをまた記事にしていきたいと思います。

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