推奨される借入金
税理士の方と話していると、例外なく「今は可能な限り借り入れを推奨している」と言っています。借金というと、一般的にはあまりいいイメージがありません。しかし、現在の緊急事態では借りられるだけ借りるべきだという考え方が主流です。
借りることのイメージがよくない理由
お金を借りることが即悪い事にはなりません。投資目的で借入を行い、リターンを得て返済するばあい、借りることができなければリターンを得ることもできません。しかし、返すあてもないことにお金を使い足りない分を借りて補うとなってくるとジリ貧です。借りられる間は延命されますが、借りられなくなった瞬間に破産してしまいます。
借りることのイメージがよくないのは、この返すあてがない借入のイメージが大きいからではないでしょうか。
借りても使わなくてもいい借入金
今回、新型コロナウイルスによって生じた緊急事態を受けて全力で借り入れることが推奨されるのは、利息が「利子補給」という制度により、3年間は実質的に無利子になるためです。
借り入れたお金は、通常は利息が発生し使いもしないのに借りてしまうと、利子を払う分損をしてしまいます。しかし、利子補給によって実質的に無利子になるのであれば、使わなくても損はなく、いざという時には使えるという保険になります。もちろん、利子を払わなければいけないとしても保険料を払っていると思えばいざという時のために借り入れてお金を持っておいてもいいかもしれません。そういう借り入れが必要な人はいつでも借り入れる動機がありますが、今回はそんな人じゃなかったとしても実質無利子なので借り入れた方がいいという事になります。
「実質借入金」の把握が重要
借り入れたらキャッシュが手に入りますが、そのキャッシュをそのまま持ち続けて時期が来たら返したとします。この場合、実質借入金はゼロです。最初から最後まで借り入れたお金を返す資金を持っていて、「借入金-返すための資金=0」の状態だからです。
しかし、一たびキャッシュを使い始めると、借入金を返すための資金は減っていきます。そうすると実質借入金が増えていくことになります。実質借入金は、すぐに返済できない借入金で、この金額を把握して危険水準にならないようにモニタリングしておくことが重要になります。
今の異常事態では確かにいつもより積極的に借り入れた方がいいと思いますが、お金があるからと言ってどんどん無駄に使ってしまい実質借入金を増やしてしまうような人はよく考えて借りた方がいいかもしれません。