広がるRPAの潮流
今日はマネーフォワードさん主催の会計事務所を効率化するRPAセミナー(Webセミナー)に参加してきました。会計事務所RPA研究会(以下「研究会」)という会社の方がセミナーの講師になっており、会計事務所のよくある業務の自動化についての話でした。無料セミナーは広告宣伝の目的で行われることが多いですが、このセミナーも研究会の会員になってサポートを受けつつロボットを作っていきましょうという内容でした。
私は、IT推進を支援している事務所の所属で全く同じ仕組みのASAHI Accounting Robot 研究所(以下「研究所」)という会社の会員になっているので、この研究会に入るつもりはありませんが、全国のいたるところでこのようなRPAを推進する会計事務所のグループ化が進んでいるのを目の当たりにしました。
研究会と研究所の最も大きな違いは使っているRPAのソフトです。研究会は「EzRobot」、研究所は「WinAutomation」というRPAソフトを利用してロボットを作成しています。この辺りもいずれは一つのソフトに統一されていくのかもしれませんが、今はソフトが群雄割拠しているような感じです。
アプリ跨りの単純作業を自動化する
データの操作を行うのは、Excel内で完結する話であればVBAと関数があれば十分です。RPAは「VBAの知識が無くてもできる!プログラミングの知識が無くても作れる!」という触れ込みですが、VBAやプログラミングのスキルを10とした場合、8ぐらいは必要だと思います。つまり、VBAやプログラミングよりは簡単なのかもしれませんが、まったく知識がない人がロボットを作成できるようになるには、VBAを習得する労力の8割ぐらいは必要になると思います。
したがって、実際にロボットを作ろうと考える人は、VBAで簡単なマクロを作るぐらいの知識はある人で、それだったら新たにRPAの知識を習得しなくてもVBAでできることならVBAでやった方が簡単です。
RPAが活躍する場面は、VBAがカバーできないExcel以外のシステム内での作業やExcelと他システムの橋渡し、他システムと他システムの橋渡しといったところです。会計事務所でいえば会計ソフトと申告ソフトの橋渡し、Webと会計ソフトとの橋渡し、顧客提供のExcelと会計ソフトの橋渡しといったところです。
これらの一つ一つの作業は1回にかかる時間は大したことは無く、ロボットをわざわざ作る時間がもったいない感じがします。しかし、利用する人が多く、作業の回数が多いのであれば作る価値があります。
時間の価値は変わる
セミナーを聞いていて、なるほどと思ったのは、「繁忙期の1分と閑散期の1分は価値が違う」という話です。いくら利用量が多いロボットでも、別にそんなものを使わなくてもやる余裕がある時期の作業であれば作る価値はあるのか疑問です。しかし、繁忙期の1分1秒でも惜しい時に10分かかる作業を1分でやってくれるロボットがあれば相当助かると思います。
つまり、ロボット化の対象とするべきは繁忙期で業務が立て込む申告関連の作業や年末調整の作業といったものを優先すべきという事になります。
ロボットから事務所の業務のシステム化へ
当面は目先の作業を効率化するためにコツコツロボットを作りながら、ロボットの作成方法を習得していくことになると思いますが、効率化するためには例えば紙でもらっていた資料をデータでもらうように交渉が必要になったり、フォーマットを統一してロボット化しやすくしたりと業務の運用に影響を与え始めます。そのうち、テレワークとリンクしたりと影響範囲が広がり始め、RPAが業務フローに溶け込むようになると会計事務所の競争優位としてRPAが躍進する可能性があります。
一過性の流行で終わってしまう可能性ももちろんありますが、今の流れを見るにつけ、今のところはついていく必要があると感じています。