節税や税務について知りたい経営者の方向けの記事

諸会費勘定に何も考えずに計上していませんか?-消費税の課税・不課税の関係

12月決算の私にしては大きな会社が申告期限を迎えようとしており、忙しくて更新が止まってしまっています。法人税・消費税の申告書を作成していくにあたり、最近は消費税の税区分(課税か非課税か不課税かといった区分)が気になります。

原則不課税仕入になる「諸会費」勘定

諸会費勘定というのは、商工会の会費とか、我々であれば公認会計士協会への会費、税理士会への会費といったものが計上される勘定科目です。ライオンズクラブやロータリークラブといったところの会費もこの諸会費勘定で処理されます。

免税事業者であれば特に意識することはないですが、この諸会費勘定に計上される取引は基本的に不課税仕入に該当し、消費税が含まれていないため、受取った消費税から控除ができません。

このことを意識せずに、「なんとなく諸会費かな」と計上して消費税申告書を自動計算で作成するとうっかり控除していいはずの消費税を控除せずにスルーしてしまう恐れがあります。

例えば、ライオンズクラブで懇親会が開かれ、その費用を会費とは別途払ったときに「ライオンズクラブの支出だし諸会費でいいか」と諸会費に入れてしまうと、手動で課税仕入に設定しなかった場合、不課税仕入とみなされ消費税を減額できたはずなのに減額できないことになります。

ちなみに簡易課税制度を採用する場合はみなしで仕入税額控除が行われるため、この仕入税額の判断は関係なくなります。

課税・不課税の分かれ目

消費税を控除してもいいかどうかは、その支払いに対価性が歩かないかが重要になってきます。払ったお金に対して何かリターンを得たのかというものですが、ライオンズクラブやロータリークラブといった会は人脈がリターンと言えなくもないですが、明確に会費を支払って人脈を買っているわけではないため認められないということのようです。

一方で、そんなライオンズクラブで懇親会が開かれた場合には、懇親会で払ったお金は食事代として対価性があります。このため、懇親化費用に関しては課税仕入です。そして、どちらかというと交際費になります。

協会の会費も「所属しているから払って」といった感じのものであるため、何か買っているわけではなく不課税になります。私が所属している中小企業同友会や倫理法人会の会費も請求書やホームページで調べたところ、ライオンズクラブ等同様、消費税対象外と明記されており、不課税仕入に該当します。

決算前には消費税の税区分のチェックを

課税事業者になったばかりの方で「自力で何とかしよう」という方は消費税の税区分にご注意ください。

税区分を会計システムに正確に設定できていれば、消費税の申告書はほとんど自動で作成されますが、この設定がめちゃくちゃになっていると消費税申告書の作成機能が利用できません。すべて手作業で集計するといった非常に非効率な作業が発生してしまいます。

免税事業者の間は全く意識する必要が無かった税区分ですが、課税事業者になったとたん非常に重要な要素になるため、不安であれば課税事業者になるタイミングで税理士を顧問につけるのも一つかと思います。