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中小企業とは-中小企業庁と租税特別措置法で定義が違う

コロナによって様々な優遇措置が取られるようになりましたが、優遇されるのは「中小企業者」や「中小事業者等」といった条件が付いています。漠然と中小企業という捉え方をしていると対象外になっているのに対象と思い込んでしまう可能性があります。

中小企業基本法の中小企業者

中小企業庁が出す補助金などでよく出てくる中小企業基本法上の中小企業は以下の通りです。

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

この場合、業種分類ごとに条件が異なっており、さらに小規模企業者という分類もあります。小規模企業者の場合は、300人以下が20人以下に、100人以下、50人以下が5人以下になります。

補助金・助成金を受ける時にはこの定義が原則となっているため、「中小企業庁(やその上部組織の経産省)が何か言っている時はこの定義」と思い込んでいると対象外なのに対象と思い込んでしまう可能性があります。

租税特別措置法上の中小企業者

租税特別措置法にも中小企業者の定義が定められており、こちらは以下のような法人が対象になります。

(1) 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
(2) 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人

中小事業者(個人)についても(2)同様1,000人以下が要件となっています。こちらは租税特別措置法という言葉からもわかる通り、国税庁(上部組織:財務省)が定義しているものです。

固定資産税の減免について中小企業庁が情報提供していたら?

中小企業庁の中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポ」で固定資産税の減免の申請についてアナウンスされていた場合、どちらの定義に従うべきでしょうか?

一見、中小企業庁が掲示しているため中小企業基本法上の中小企業者の事のような気がしますが、固定資産税の減免は税金の話なので租税特別措置法上の中小企業者の定義が適用されます。

したがって、資本金2億円で従業員100人の製造業の会社は対象外です。逆に、資本金9,000万円で従業員100人の小売業の会社は対象になります。従業員500人の個人事業主も対象です。

このように制度によって定義が異なってくるため、本当に自分の会社が対象となっているかはよく確認する必要があります。

固定資産税の減免には認定支援機関等の確認が必要

なぜ、国税庁の管轄と思われる固定資産税の減免について中小企業庁が積極的にアナウンスしているのかというと、もちろん中小企業を総合的に支援するためという目的もあると思いますが、認定支援機関等が関与する必要があるためです。認定支援機関「等」には中小企業診断士(中小企業庁管轄の資格)が含まれます。普段税理士を利用していない会社がこの制度の利用のためにスポットで確認が必要な場合には中小企業診断士にも活躍の機会があります。

このような事情があることから、中小企業庁の方でも積極的にアナウンスしているものと思われます。

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