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社長の所得は会社の最終防衛ライン。社長の所得を増やすために

2月末期限の申告業務が終わり、ひと段落したと思いきや所得税の確定申告時期に入っています。個人事業主については納税が終われば手元に残った資金は晴れて事業主自身のものになります。それを浪費するか投資するかは事業主次第です。

税理士の範疇を超える社長の所得のその後

所得税の確定申告によって、所得税・個人事業税・住民税の納税額が算定され、今年の要納税額が判明します。課税所得が800万円程度になってくると、今までサラリーマンだった事業主の方であれば、全部合わせるとちょっと引いてしまうぐらいの納税額になります。

単純に所得税だけでも141万円、住民税10%で80万円、事業税5%で40万円としてざっと261万円の課税です。課税所得というのは様々な控除がされた後なので、課税所得800万円というと実際には1,000万円程度の事業の利益が出ていますが、個人事業主の場合そこから生活費を賄っており、思っているほど手元にお金は残っていません。

そんな中、250万円以上もお金を払えと言われると今まで給与所得で還付されていたりするとショックを受けるレベルです。このあたり、サラリーマンから起業したばかりの人は計算上2割だなんだと言われているときには全くピンと来ていない人が多い印象です。源泉徴収という徴税方法がいかに国民に納税の意識を持たせずに税金を徴収しているかわかります。

多額の納税額を目にしているのは儲かっている証明

顧問先には独立間もないにもかかわらず業績が比較的好調な社長さんもいますが、そういった社長さんが納税額に驚く場合がありますが、これは見方によっては成功している証でもあります。

納税不要なレベルの所得からひとたび納税が必要なレベルに入ってくると累進課税により一気に納税額が増加します。これは、国の制度としてそれだけ儲かっているのであればこれだけ持って行っても生活できるだろうと考えているためです。なので、納税不要から要納税のレベルに入ったあたりが一番大変で、その域に達したのであれば、納税を恐れず所得増にまい進した方がかえって状況を打開できます。

所得を増やすために

事業で安定的に利益が出ていれば問題ありませんが、業況が悪化することも当然あります。そんな時、社長本人の資力が最後の砦になります。国で言えば城に敵が攻め寄せてきて籠城戦になっているような状態です。社長の手元に兵糧ともいえるキャッシュが少ないと援軍(状況の好転)を待てずに瓦解する可能性が高まります。

そこで手元資金を増やす方法として、いわゆる不労所得である不動産所得や配当・利子所得、株式譲渡所得などといった所得による増加を図っていく必要があります。この辺りは税理士の範疇を超えてしまっていますが、ネット証券が生まれて数十年がたち、今では様々な投資商品に直接アクセスできる環境が整っています。

資本主義経済の主役である株主は特に税制面でも優遇されており、株の売買や配当による所得は約20%で一律の課税になっており、住民税と合わせて最大55%になってしまう所得税や、30%程度の法人税よりはるかに低い税率で所得を増加させることができます。さらにはNISAやiDecoなど非課税枠まで準備されています。

納税額に驚くレベルの所得が事業によって獲得できるのであれば、次のステップとしては余剰資金の運用について考える必要があります。