経営に役立つ情報を知りたい経営者の方向けの記事

資産運用に変額保険は有効か

昨日の記事で、個人向け社債について書いてみましたが、資産運用でよく言われる金融商品のうち、変額保険について触れてみたいと思います。

生命保険はいらない?入ってはいけない?

私はアクサ生命の保険代理店として登録しており、変額保険の販売資格を得るための試験にも合格しました。知人であるアクサ生命の営業の方に個人の生命保険に加入する上で昔からお世話になっており、その方が是非にという事で「まあ何でも経験か」という事で登録させていただきました。

正直、生命保険というと万が一に備えたコストでしかないというイメージでしたが、保険について勉強していると、確かにコストではあると思いますが、「なるほど、お金持ちであればあるほど人生がどう転んでも大丈夫なようにできるんだな」と思うようになりました。

無理に入る必要はないと思いますが、ここまで保険が売れて保険の営業の方がたくさんいるのは、やはりメリットがあるためで、保険が無駄だと騒がれるのは保険を売る人が多すぎて過当競争になっていることで、強引な販売が横行してしまっているためだと思います。つまり、適度な保険であれば入っておいた方がよく、一切入る必要が無いというのは極論です。

バレンタインショック後も好調な変額保険

変額保険はバレンタインショックという節税目的の保険が封じられた後も問題なく好調に販売されているようです。

これは、変額保険がそもそも節税を目的としていたものではなく、保険にかかるコストを資産運用でカバーし、あわよくば儲けを出そうという資産形成目的のものだったからです。

そもそも、節税目的の保険には返戻金を受け取る際には収益として認識されてしまい、課税額が増えてしまうという副作用があります。これが課税の繰り延べというもので、出口戦略まできちんと考えておかないと結局課税を先送りしただけで最後にはきっちり納税しなければいけなくなります。

節税効果が無いという事は、逆に最後に受け取る際にも課税されず、収益として認識されるのは儲かった部分だけです。元本割れで損をした場合は経費計上することになり、税金分は得することになります。

投資信託+保険というほかにはない特徴

生命保険に入る必要が無いと言われる理由に、「自分でお金を貯めておけばそっちの方がコストもかからなくていい」というものがあります。保険をかけるお金を、よりお金が稼げる別の用途に使った方がトータルで獲得できるお金が大きいというものです。

たしかに、保険のコストがかからない分そちらの方がお金は貯まるかもしれません。しかし、保険の代わりにはなっていません。その前提にあるのは「人生の途中で取り返しがつかない何かに遭遇しなかったら」というものです。

保険は入った次の日に何かが起こった際にも、数十年後に何かが起こった際にも同じ保証額が支払われますが、自力で資産形成して賄う場合は最初の頃は少ない資産しかないため、例えば来年何か大きな事故に遭って再起不能になった等の際に、対応できません。

そして変額保険は、そのコスト分を資産運用でカバーしていくため結果的に運用に成功すれば保険の恩恵を受けつつお金をより多く貰えるという商品です。普通に同じタイプの投資信託に入った方が貰えるお金は多いと思いますが、この保険機能の恩恵を受けることが出来ません。

投資タイプは失敗が少ないドルコスト平均・インデックスファンド

アクサ生命の変額保険は「ユニット・リンク」という商品名ですが開始当初からの運用利回りは10%を超えています(外国株式に投資しているタイプ)。6%でも十分投じたお金以上が返ってくるので、この利回りはすごいと思います。ただ、これは今までの恐らく10年程度の期間がたまたま外国株が好調だっただけの可能性もあります。米大統領選も不透明で今後米国対中国の情勢も不安定になってきたりすると、このまま好調に推移する保証はありません。

ただ、この投資信託は株式や債券にドルコスト平均法という安い時にたくさん買い、高い時に少ししか買わない、毎月一定額を投じ続けるという、素人でも失敗しにくい投資法であること、インデックスファンドという市場に連動しているタイプで過去から現在まで経済は成長し続けており、その成長に合わせる形になるため、第三次世界大戦のように大きな世界の混迷が生まれない限りは長期的には大きく崩れることは無いと思います。当然、結果的に受け取る時点では元本割れしている可能性はあります。

結論

変額保険は、保険機能という他には無い特徴を持つ金融資産で、その部分を重視する場合は悪い選択肢ではないと思います。ただ、先日の社債同様元本割れのリスクはあり、利回りも同じぐらいであることから資産運用という観点からは社債と同程度のリスクを負うものです。