YoutubeでDaigoさんの動画がたまにお勧めで出てくるので、気になるやつは見ているのですが、「成功者の家にはアレがやたらと少ない説【天才心理学者アダム・グラントの子育てルール】」という動画の話がちょっと面白かったので、紹介します。そしてこの話は「経営理念とは」という話に共通していると感じました。
成功する家庭には何が少なかったのか
成功する家庭が普通の家庭に比べて、600分の1しかなかったもの。それは「子供に課しているルール」です。明文化したルールという意味ではなく、例えばテレビは1時間しか見てはいけませんとか、食事中に本を読んではいけませんだとか、自分が子供の頃にも色々なことを言われていたと思います。そのルールを数えていくと、普通の家庭には600個ぐらいのルールがあるそうです。このルールにはわずかな期間にだけ有効で忘れ去られてしまうルールなども含みます。
一方で、成功者を生み出す家庭の場合はルールはたったの一つしかないそうです。それは、「親が自分がされて嫌だと思ったことを子供に伝え、理解してもらう」という事だけ。子供はそのルールから相手の気持ちを察して、嫌がることをやらないように自らを律していくという事です。
これは結構難しい事で、親が自分のわがままで何でもかんでも嫌だと言っていたら上手くいかないと思います。親自体が相当できた人で、親の方も子供の嫌がることをやらない、つまりお手本になってあげる必要があります。子育てしていて思うのは子供は色々な個性はありますがベースとしては素直なので、ちゃんと親が説明できれば納得してくれます。
子供が我儘になってしまうのは、親が子供が納得できない形で何かを強制していることで、子供も親が納得できない形で何かを訴えているのだと思います。まさに人は鏡。子供が思い通りに動いてくれないのは、親が子供の思い通りに動いていないからで、それは相手の都合のいい存在として動くという意味ではなく、互いに一つのチームとして補い合う動きができているかという話です。
そういう意味で親自体が成功者だから、子供が成功者になるということのようです。
シンプルで分かりやすい経営理念が必要な理由
この話は社長と従業員の関係でも同じことが言えます。先月の同友会の支部例会で発表を聞いていた時に、いかに分かりやすい経営理念が会社経営に有効かというのを目の当たりにしましたが、この経営理念が分かりやすいというのも「ルールが少ない(シンプルである)」話につながります。
経営理念も、複雑でたくさんの項目を設けてしまうと、覚えられないし、従業員自身が考える余地が失われ「従っていればいい」という事になってしまいます。このため、経営理念は「わかりやすい」という特徴から派生して、「応用が利く」といったところも必要で、たった一つの経営理念から従業員自ら適切な行動を導き出していちいち指示を出さなくても行動するというのが理想です。先ほどの子育てのルールが一つしかないというのも同じことを狙ってのことです。
必要なのは、中心となっているものは何なのかを見つめなおすこと
現時点で様々なルールを設けている場合に、できることはルールの大元になっている考え方に遡っていき、グループ化して集約していくことです。そうして、枝葉から幹に向かって遡っていき、たった一つの幹に到達することができれば、それが経営理念や家庭のルールを作っている何かです。
「一つになるわけがない」と思うかもしれませんが、核となる考えというのは本当にわずかです。これは、サプライチェーンを改善するためには「最も弱い鎖の輪を強化する」という話にもつながりますが、最も弱い鎖の輪が鎖全体でたった一つしかなく、その鎖の輪が鎖全体の強度を決定しているのと同じで、すべてを決めている核となる考え方も一つに遡れるはずです。一つに遡れないにせよ集約化して数を減らすことは間違いなくできます。
核になっている部分が把握できれば、全体のコントロールはより容易になり、勘違いや見当違いなアクションも少なくなります。