会計

税務顧問に公認会計士を選択する優位性

一般の方には公認会計士と税理士の違いはいまいちわからないと思います。しかし、公認会計士と税理士は独占している業務内容が全く異なります。しかし、公認会計士は税理士登録を行うことで税理士になることも可能です(ここでは公認会計士税理士と呼ばせていただきます)。今回の記事では、公認会計士税理士に顧問税理士を頼むにあたって、知っておいた方がいい事について解説させていただきます。

税務については税理士に後れを取る公認会計士税理士

公認会計士は税理士登録を行うことによって税理士になることができます。税理士からすると、「税務の専門家ではない公認会計士が税理士になれるのはおかしい」という思いがありたびたび公認会計士が税理士になれないようにするべきではないかという話が論争になります。

歴史を紐解くと、実は公認会計士の方が先に生まれています。税理士は後から生まれており、公認会計士は当初当然のように税理士業務を行っていました。そもそも税理士という区分自体が無かったため、税理士の業務も会計士の業務として認識されていました。他国では税理士という資格はなく、会計士が税理士業務を担当しています。

しかし、日本の税務が非常に複雑なのは事実で、税務のプロである税理士に比べて税務に関係するところは税効果会計程度の公認会計士が税務に弱いというのは事実です。

会計については公認会計士の方が強い

税務顧問の仕事をやりだして感じたのは、小規模な事業者はほとんど税務基準で決算書が作られており、それがまるで当たり前のようになっていることです。税務基準は税金が多く取れた方がいいので損失計上に厳しく収益計上に甘い基準で、一般に公正妥当と認められる会計基準とは真逆です。

会計基準としてあるべきは、収益計上に厳しく損失計上に甘い(もちろん架空の計上は認められませんが)基準となるべきで、これは「保守主義の原則」として企業会計基準の大原則の一つとなっています。公認会計士は、会計基準からの逸脱を指摘して、適正な会計基準に従った決算書を作成するための会計監査業務を行います。したがって、税務を効率的に実施することに特化した税務基準で作られた決算書を見ると違和感を感じます。

一方で、税務基準が小規模な会社であるほどスタンダードであることは周知の事実なので、公認会計士出身の税理士も無理に会計基準に合わせようとするほど融通が利かないわけではありません。無理に一般に公正妥当と認められる会計基準に合わせた結果、会社が債務超過に陥り、金融機関からの借入が難しくなり、倒産するという可能性もあるため、ある程度事情を斟酌した上で、改善提案を行うことができます。

「健全な経営」「経営戦略」「事業拡大・成長」を目指すのに適している公認会計士税理士

適正な会計基準に従って決算書を作成すると、例えば税務基準で行けば利益が出るのに、赤字にしなければならなかったりと、様々な不都合が生じます。しかし、健全な経営や会社の成長拡大を考える経営者であれば、そういった状況を不都合と捉えず、危機感を持たなければならないと冷静に受け止めて手を打っていく必要があります。

監査が必要な上場企業は、税務上は税金の支払いを減らす経費にならないにもかかわらず、決算書上は費用として計上しなければならないものもきちんと計上します。つまり、決算書の見た目が悪くなるだけで税金は減らないといういい事が無い状況です。しかし、そうすることで保守的に会社の業績を把握することができるようになり、打ち手を考えることができます。逆に言えば、そんな余裕もないほど赤字になってくると粉飾の動機が生まれ、危険な状況になります。

会社の業績の異常を早期に察知して手を打つというのは、正直に経営を行うことで健全な成長を促すという効果があります。財務会計の視点に立った時に、会社がどのような状況にあるのかを説明し、保守的なアドバイスを求めるのであれば、税務に特化した税理士の支援より、公認会計士税理士の支援を受けた方がより意思決定に有用な情報を得られる可能性があります。

上記に当てはまる企業で顧問税理士を探している方は、是非ezakitakakazu.office@gmail.comまでご一報いただければと思います。初回の相談は無料です。