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減価償却累計額という聞きなれない言葉

決算書には「減価償却累計額」という言葉が出てきます。減価償却費が過去どれぐらい累積しているのかを示す値ですが、この言葉を理解するには「減価償却とは?」、「減価償却費とは?」を理解する必要があります。

一気に費用化するべきではない「有形固定資産」

5,000万円の工場を建設した製造業の会社があったとします。金融機関から借入を行い、工場の引き渡しのタイミングで5,000万円が支払われます。この時、工場建設費をその年の費用として計上してしまうと、工場が稼働した年に5,000万円の費用が計上され、その次の年から1円も費用は計上されません。

例えば、25年この工場を使うつもりだったとしたら、2年目も、3年目も、25年目も工場の恩恵を受けてモノが作られることになります。それなのに1年目に費用5,000万円、2年目以降費用0円というのは、発生する売上との対応で考えるとおかしなことになります。毎年、1,000万円分のモノが作られるとすると、1年目は4,000万円の赤字、2年目から1,000万円の利益が出ることになりますが、現実には毎年同じだけ製品が作られ、その利益で借入を返済することになります。

この問題を解決しようとしたのが減価償却という考え方です。5,000万円を25年にわけ、1年に200万円づつ計上していけば、1年目から800万円の利益が出て、25年目まで同じ成績になります。この分割して計上した費用を「減価償却費」と言います。

減価償却累計額というのは、例えば10年経過した後であれば、この減価償却費が累積して2,000万円はすでに減価償却が終わっていることになりますが、この償却済みの減価償却費の累積額のことを言います。つまり、取得した時の金額と減価償却後の帳簿価額との差額です。

減価償却累計額が教えてくれる情報

なぜ、減価償却累計額という情報が開示されているのでしょうか。別に減価償却後の建物や機械装置の金額(帳簿価額)を載せておけばいいように思います。実際、貸借対照表に載せている金額が帳簿価額のみというケースもよくあります。しかし、その場合には注記表に減価償却累計額が開示されています。

そしてこの減価償却累計額は有形固定資産と言われる建物・機械装置・器具備品といったものにだけ開示されます。無形固定資産であるソフトウェアのようなものもは開示されていません。

減価償却累計額が教えてくれる情報は、「その固定資産をどれぐらい使い込んでいるのか」という情報です。表現を変えると「どれぐらい老朽化しているのか」という事です。帳簿価額がとても小さく、減価償却累計額が帳簿価額に比べて非常に大きい場合、ほとんどの固定資産がすでに耐用年数を過ぎていて、すでに税務的には無価値になっているにもかかわらず、使い続けていると考えることができます。

逆に、減価償却累計額が小さく帳簿価額が大きい場合には比較的新しい固定資産だということが分かります。こういった情報は、いったいどれぐらいのタイミングで新しく建物を建て替えないといけないのか、機械を購入しないといけないのかといったことを教えてくれます。


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