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Excelのメリットとデメリット-なぜExcel管理から脱却しなければならないのか

Excel管理がダメな理由

Excel管理から脱却しよう!というのは、かなり前からよく言われている話です。この話についてもう少し突っ込んで考えると、「Excel管理は非常にいい面があるのだけど、どうしても不都合な点があるためやめよう」という事になるのではないかと思います。Excel管理にいい点が無ければとっくに皆脱却してしまっているはずだからです。

Excelのメリット① 誰でも理解して使える

今時、Excelの操作方法が分からない人はいないと思います。いたとしてもごく少数です。少なくとも、Excelの代わりに入れようとしているシステムに比べたら圧倒的にExcelの方が使える人が多いと思います。

使える人が多いという事は、すぐにExcelで作成したツールを直感的に利用しやすいという事です。もちろん、マクロや関数を駆使した操作を行うことができる人は限られると思いますが、Excelを一つのツールとしてみた時にユーザーとして利用することができるという観点からはほとんどの人が利用可能です。

また、特定のシステムに習熟している人に比べても、Excelに習熟している人の方が圧倒的に多いため、ツールを作成するにもExcelで作成するというのが最も簡単にできます。

Excelのメリット② 情報の共有が容易

他者とやり取りするときに、Excelが認識できないパソコンというのはビジネス用のパソコンとしてはあり得ません。そのうち、マイクロソフトオフィスではなく、Googleドキュメントが主導権を握るなど、ブラウザベースの表計算ソフトが席巻する時代が来るかもしれませんが、現状ではExcelファイルを送ればどのパソコンでも閲覧・編集可能です。

一方で、特定のシステムを利用した情報管理を行う場合、どうしてもそのシステムのライセンスを所有しているだとか、ソフトウエアをインストールしているだとかが必要で、自社では使えるけど他社と情報の共有が難しいといったことが起こったりします。

Excelのメリット③ 人件費以外の追加コストがかからない

実際には、Excelでツールを作成する時間分の人件費が発生しているはずですが、人件費は固定費なのでExcelでツールを作るとシステムを新たに購入する分のお金は発生せずタダで作成できるような気がします。

実際、システムに多額の費用が必要になるのであれば、Excelでツールを作成することで、目先の追加コストを抑えられる面があります。

他にも探せば色々と出てくると思いますが、とにかくExcelは表計算の共通言語ともいうべき地位を獲得しており、「ソフトウエアは次から次に新しいものが出てきてよくわからないけど、Excelならとりあえずわかる」という状況から、システム導入の労力や失敗のリスクを考えると、とりあえず導入のハードルが低いExcelで何とかなるなら何とかしてしまいたい、というのが実態です。

Excelでどうしても不都合な点

では、なぜExcelから脱却しなければならないのかというと、Excelでどうしても不都合な点があるからです。

不都合な点① 全部見えてしまう

例えば、従業員情報をExcelで管理していて、住所等の情報が変更になった際に、Excelで管理していたら他の従業員の情報まで全員分が見えてしまうため、ファイルを送って該当箇所を変更してくださいと投げるわけにはいきません。

また、マクロや関数など複雑に仕込んだツールの使い方がよくわからず、関数を上書きして固定値を入れてしまうなど、簡単にツールを破壊できてしまいます。

不都合な点② マニュアルもサポートもない

ツール作成者がしっかりした人でマニュアルを作ってくれたり、サポートに応じてくれたりする人であればいいですが、通常はツール作成を専属でやっているというのは珍しく、「わからなければ聞いて」というのが関の山です。ツールの不具合なのか、正しく動いているのに操作が間違っているためにおかしくなっているのかも作成者本人でなければ確認しようがありません。

やがて作成者が異動や退職でいなくなるとブラックボックス化して使われなくなるか、いつ壊れるかわからない不発弾のような扱いをされながら恐る恐る利用されるかになり、業務運用上のリスクが非常に高くなります。

不都合な点③ 同時更新ができない

ExcelにもAさんとBさんが同時に同じファイルを開いて更新するという機能はあるにはありますが、あまり利用されているのを見たことがありません。競合した際に複数のファイルができてどちらが正かわからなくなったり、どちらかの更新情報を消さなければならなくなったりするためです。これも、システムでは日常的に同じ情報を同時に更新したりという事をやっていますが、Excelではリスキーなこととして避けがちです。

Excelは不特定多数のユーザーが利用するには自由度が高すぎるというのが不都合な点で、データへのアクセス権限管理や、同時アクセス・編集などスキルや役割がバラバラな複数の人が同時に利用することを想定するとExcelでは不都合な点が出てきます。

このことは逆いえば、たった一人で自分が作業をするために何かツールを作るという場合に、Excelが一番思い描いている機能を実現しやすいというのであればExcelは非常に有効なツールになります。