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経営者とフリーランスの違いとは

フリーランスは経営者?

経営するというのはどういうことなのかについては、意見が分かれるところだと思います。フリーランスも一つの経営の形だと考える人もいれば、フリーランスは経営してるとは言えないと考える人もいるでしょう。

経営者の集まりに参加して経営者の方々にお会いしている時に、私のように一人で会計事務所のような事業をやっている人間と、複数の人を雇って事業をやっている人では根本的に違うという事を感じます。

なので、私の中での定義として「一人で事業を運営しようと考えている人」をフリーランス、「人を雇い入れて事業を運営しようと考えている人」を経営者と捉え、両者は明確に異なるというのが今のところの結論です。

この定義に従えば、フリーランスと経営者は相容れないものになります。

経営者とフリーランスは稼ぎ方が根本的に異なる

フリーランスはあくまで単独で稼ごうとするため、自分が管理者でも従業員でもあります。自分の稼働時間が収入に直結しているため、どれだけ自分を働かせられるかが重要になってきます。また、人ひとりの稼働時間にはおのずと限界があるため、収入にも限度があります。

一方で、人を雇うことが無いため従業員に対する責任はなく、今回のような急な経済活動のストップが起こった時に雇用を維持するために給料を払い続けるが収入が無いといったことはありません。自分一人が何とかしのげればいいのでローリスクです。

他方経営者は、基本的に「本業は誰か(従業員)にやってもらう」というのが基本です。経営者の仕事は誰かがやってくれる本業をできるだけたくさん取ってくること、本業を捌く人をきちんと確保しておくことといったことになります。

この事業を継続的に滞りなくどこまでも大きな規模になっても対応できるような「仕組み」を作り上げることが経営の真髄なのだと思います。フリーランスは個人という縛りがあるため、規模には限界があり、本人が何らかの理由で事業を続けられなくなったらその時点で事業全体が終了します。

経営者かフリーランスか-問われる生き方

経営者とフリーランスは明確に違う生き方ですが、どちらがいいという事はありません。それは、その人本人の生き方が決める問題です。経営者のような仕組み作りが好きで、自分を中心にたくさんの人を巻き込んで組織でやっていきたい、大きなことをやりたいという人は経営者を目指す必要があります。一方で、いつまでも現場で頑張りたい、自分の技を極めたいといった職人気質の人はフリーランスの方がストレスが無い人生を送ることができます。

こうして独立して感じるのは、いわゆる給与所得者が上から言われるからやるというスタンスで仕事をすることほどつらいことは無いのではないかと思います。給与所得者は管理職は経営者、スタッフはフリーランスのような気持ちで仕事をしないと、日々の生活がつらいものになります。

そのためには、経営者は従業員にある程度の自由な裁量を認める必要があるのではないでしょうか。結果が出るように一定の方向については示しつつ、かといってがんじがらめに縛ったりせず、といった運営が必要でその塩梅は非常に難しいものだと思います。

経営理念-経営者が示す方向性

この方向性を示すというのが経営理念であり、経営理念が「とにかくお金を稼ぐ」というものだと、従業員がどんな手を使ってもお金を稼ごうと危ない橋を割っても経営理念に沿ったものになりますし、「社会に貢献する」というものだと、赤字でもボランティア的に仕事を受けてしまって立ち行かなくなったとしても経営理念には沿っていることになります。

従業員は「経営者はどうしたいのか」という事を気にしていますし、そのどうしたいというのが「ノーリスクハイリターンだ!」といったような、自分勝手な矛盾したものだと組織の行動もおかしなことになってしまいます。不思議なことに、「ノーリスクハイリターンなことないかなぁ」と普段ボヤいていたりしたら「寝言は寝て言え」とつっこまれるようなことでも「我々は成長しなければならない!しかしリスクは最低限に抑える必要がある!(言っていることはノーリススクハイリターンのような話)」と経営者が言ったりすると、従業員は内心「それはベストだけど、どうやって?」と内心思いつつも粛々と従ってしまうから不思議です。しかし現実にはそんなに都合がいいことは無いので「ノーリスク(に見えて実はハイリスク)ハイリターン」だったり、「ノーリスクハイリターン(に見えて実はノーリターン)」といったことを皆がやりだしてしまいます。

ともあれ、経営という一大事業をやるか、フリーランスで自由な人生を送るか、そういったことを選択できる立場にあるというのは幸せなことだと思います。