最近よく聞く「ファクタリング」という言葉
最近インターネットでよくファクタリングという言葉を見かけます。債権を現金化するのかと軽く流していましたが、給与ファクタリングという話が問題化して一般的にはファクタリングって何なの?という感じなのかもしれないと思い記事にすることにしました。
ファクタリングというのは、企業の売掛金を売却して現金にかえる取引です。売掛金というのは「当月締め翌月末払い」のように、当月の売上の入金が来月の末に支払われるといった場合に、仕訳で「現預金/売上」という仕訳が切れないので、一旦記録として残しておくために「売掛金/売上」のように使うための勘定科目です。受取手形のような手形だと割り引いて金融機関で現金化できますが、売掛金はファクタリング業者が金融機関の役割を果たします。
売掛金は待っていれば入金されるので、待っていればいいのにと思う資金繰りに困ったことが無い方がいるかもしれません。しかし、自転車操業で口座に預金が足りず支払までに入金が間に合わないというケースで、ファクタリングは役に立ちます。
ファクタリングは売掛金を担保にお金を借りているというのと実質的に同じことなのですが、貸金とは異質のものという見解です。このため、例えば100万円の売掛金に対して、5万円しかもらえないといった場合でも違法にはならないようです(そんな業者を利用する人はいないと思いますが)。
給与ファクタリングが問題化
このファクタリングの考え方を給与に応用した給与ファクタリングというサービスが最近問題化しています。しばらくしたらほぼ確実にお金が入ってくるものであれば、確かにファクタリングの仕組みは使えます。ニーズがあるかは別にして不動産賃貸でも家賃ファクタリングみたいなものもやろうと思えばできるかもしれません。…と思ったら、実際にそういうファクタリングもあるようです。
給与ファクタリングというのは話としては分かりますが、給与をファクタリングしなければならない状況というのはかなり危険な状況だと思います。次の給料日までにお金が足りないというのは、そもそも使っているお金に対して入ってくる給料が足りていないという事です。月30万円の給料を25万円でファクタリングすると、さらに5万円分足りなくなります。毎月ファクタリングしていたら年間60万円も収入が減ってしまいます。ただでさえ支出に対して収入が足りない状況でさらに収入が減ってしまうわけです。そこで急な出費が生じたら…あっという間に立ち行かなくなります。
これに対して、通常のファクタリングは企業が成長している局面で本当の意味で役に立ちます。企業が急成長している時は、店舗を新しく作ったり、仕入の金額が増えたりと、資金需要が大きくなります。先に投資(支払)が来て、その結果として売上が拡大し入金が増えるというタイムラグがあるため、成長のスピードが早ければ早いほど売上の入金が間に合わず黒字倒産の可能性が高くなります。そこでファクタリングをうまく利用して支払に間に合わせつつ急成長を止めずに維持するというのが理想的なファクタリングの利用方法です。そういう意味でも、ファクタリングは借入と同じです。
給与ファクタリングの利用動機が給与を投資して、より多くの給与を得るためという人はいないと思うので、給与ファクタリングを利用する時点でじり貧が確定しています。