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消費税還付スキームのイタチごっこ

先日「居住用賃貸不動産に自販機を設置することによる消費税還付スキーム」という記事で、調整対象固定資産の特例という打ち手によってこの消費税還付スキームは封じられたという話を書かせていただきました。

ところが、この調整対象固定資産についても抜け穴があります。調整対象固定資産は、「固定資産」が対象です。居住用賃貸不動産は建物なので、固定資産であるのが通常ですが、固定資産にならないケースがあります。

不動産販売を業とする会社では、この居住用不動産は建物という固定資産ではなく、販売用の商品、つまり「棚卸資産」になってしまいます。この考え方を逆手にとって、不動産販売を目的とする特定目的会社を設立し、建設した居住用不動産を「棚卸資産」とすることにより、調整対象「固定資産」の縛りをすり抜けることができます。

本当に思いつく人はどこまでも思いつくものだと思いますが、この穴を埋めるために今度は高額特定資産の特例というのが生まれました。縛りの内容は調整対象固定資産と同じで、課税事業者の届出を出した際に通常2年の所を3年に延長することで、還付スキームの利用を封じ、簡易課税制度による仕入税額控除にみなし仕入率を利用することも封じられます。

私は、このスキームを十年ほど前に見たことがあり、その時は「なぜこんなことをするんだろう?」と不思議でした。当時は倒産隔離のためかなんかだと思っていましたが、最大の理由はこの還付スキームだったのだと今になってわかりました。建物を販売する場合に、1年目は建設、2年目は引き渡しの場合、課税仕入は1年目で課税売上はゼロのため、消費税の還付が受けられ、2年目で課税売上が上がった際に簡易課税制度が使えればみなし仕入率70%で仕入税額控除されます。実際には2年目の仕入税額はゼロですので、2年目に収めた消費税は実態よりかなり少額になります。

結局この還付スキームもあまりにやり過ぎと判断され塞がれることになりました。しかし、制度が複雑になればなるほど歪みが生じて穴が生まれるというのは変わらず、今も人知れず制度の穴をついたスキームが生まれているかもしれません。

ちなみに、高額特定資産にも穴があり、調整対象固定資産は100万円以上ですが、高額特定資産は棚卸資産と調整対象固定資産で1,000万円以上なので、1,000万円未満の棚卸資産については変わらずです。販売用不動産が1,000万円を下回ることはないだろうという判断なのかもしれませんが、この微妙な穴をついてくる可能性は否定できません。


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