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さらに突っ込んだ出版の話

昨日の記事で、 孫子の勢篇の話の記事と組み合わせて、自費出版は出版業界の奇であるという話をしましたが、その続編のような話になります。 前回よりさらに突っ込んだ話として奇はやがて正に変わるわけですが、このままいくと、自費出版は周知の事実、つまり正となり、恐らく「自費出版か企画出版か」ということにこだわる輩が現れ始めることになります。

「それって自費出版でしょ?お金さえあれば誰でもできるよね」と本来の出版である企画出版こそが正統であり、自費出版は邪道だということで「企画出版ブランド」が細分化されて新たにあらわれることになります。すると今度は抜け道として「企画出版なんだけど自費出版のように誰でも出版費用を負担して出版できる」という出版方式が編み出され新たな奇となります。先日のセミナーで半企画出版という方式があることが紹介されていました、企画出版ではあるものの一定数を執筆者が買い取ることを最初から確約するわけです。そうすれば出版社は執筆者が買い取る分は確実に売れることになるため、リスクを負うことなく「本を出版したい」という執筆者のニーズを満たすことができます。

本を書きたい人に営業をかけ、「自費出版でしょ?そんなお金ないです」という人に「いやいや企画出版です!出版費用はこちらで」と言いつつ、契約上数百冊は執筆者の買取になるという詐欺まがいの商法も、もしかしたら生まれているのかもしれません。

もう一つの奇「なろう系」

なろう系とかなろう小説とか言う言葉を最近聞いて、なんのこと?と思って調べたのですが、「小説家になろう」というサイトに投稿していた素人作家さんの中で人気が出たものが出版されたり、アニメ化、漫画化されたもののことを言うようです。厳密にはその蔑称とかという見解もあるみたいですが、とにかく「小説家になろう」発祥の作品のことであることは間違いありません。

「小説家になろう」で多くの人に読まれており、人気があるということを確認してから出版しているわけです。「小説家になろう」で無料で読めるのに出版して売れるの?という話なのですが、どうやら売れるようです。「小説家になろう」を知らない人や、紙の本という形で読みたいという人、その作品のファンで内容は知っているけど本として出たら買いたい人等々、そういった需要があり、人気があると確認後に出版するという今までにない方法での企画出版でビジネスが成立するようになりました。

これは、本来の出版である「面白い本を読みたい」という読者のニーズを満たすビジネスです。自費出版という奇が正へと変わる可能性がある一方で、正だった企画出版が「小説家になろう」というサイトの力で新たな奇に変わったことになります。

今までは編集者が個人の判断で人気が出る出ないを判断し、イチかバチかで出版していたものが、多数の読者の検証を経て人気が出ることが確認されてから出版できるようになったわけです。結果、見えたのは「え?こんな話がみんな好きなの?」というような、いわゆる異世界転生モノ、ゲームの世界に転生した主人公が虐げられた後誰よりも強くなってみんなを見返してモテるみたいな話が大人気です。編集者がイチかバチかでリスクを負って出版を判断するような場面で、こんな話を素人のつたない文章で持ち込んできた作家さんがいたら一笑に付してごみ箱に捨ててしまうのではないでしょうか。今までだったら世に出なかったみんなが喜ぶ作品が世に出るようになったという意味でも「小説家になろう」は画期的なサイトだと思います。今までも個人で面白い話をブログ等で公開していた人はいたと思いますが、「小説家になろう」というポータルサイトのおかげで書く人も読む人も多くの人が一か所に集まることになりました。

このように考えると、ビジネスに限らず世の中にはいたるところに正と奇が交互に現れ流転しているのだということがわかって興味深いです。


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