節税や税務について知りたい経営者の方向けの記事

配偶者控除と社会保険料による壁

専業主婦がお金を稼ぐ時に立ちはだかる壁

調べれば色々と記事が出てきますが、数十年付き合いがある大学時代のアルバイトの先輩から「奥さんが昨年からパートを始めたんだけど、103万円とか150万円とかで損したりするの?」という質問がありましたので記事にしてみます。

よく言う103万円の壁

103万円の壁というのは103万円を超えると、超えた分からは税金(所得税と住民税)を納めなければならなくなるというものです。パートのお金は給与所得という種類の所得になりますが、給与所得は無条件で65万円引くことができます。これに加えて、基礎控除という所得全体に対して無条件に38万円引いてもいいというルールがあり、65万円+38万円=103万円までの給与としてもらう収入に関しては無税で受け取ることができます。また給与ではなく副業とかで稼いだお金(事業所得もしくは雑所得)も、それ以外に収入が無ければ38万円までは無税で受け取れることになります。ちなみにこの話は、令和2年からは、給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円という風に内訳が変わります。

ただ壁とはいえ、103万円より104万円稼いだ方が手取りは増えるので、これは稼いだ方がいいに決まっています。当然に納めなければいけない税金が発生するため、104万円稼いだ時に、103万円稼いだ時に比べて1万円丸々もらえるわけではなくなるというだけです。

150万円の壁とは

150万円の壁というのは、配偶者特別控除による控除額が減り始める収入金額ということです。旦那さんの年収が900万円以下のケースで、奥さんの収入が150万円を超えると、配偶者特別控除という控除額が38万円から36万円に2万円減額されます。そして、収入が201万円まで徐々に36万円→31万円→26万円→21万円…と控除額が減らされていきます。しかし、これも150万円の時より151万円の時の方が家族全体の収入は増えるので壁とはいえ稼いだ方がいいという話になります。

問題となる130万円の壁

130万円の壁は、扶養から外れてしまうという壁です。扶養から外れるとどうなるかというと、健康保険料と年金を自分で払う必要が出てきます。パート先の健康保険と厚生年金に入れるのであれば、最終的な年金も増えますし、多少のメリットはあるでしょうが、パート先の健康保険と厚生年金に入れず、国民健康保険と国民年金を負担しなければならない場合、純粋な負担増です。

正社員が501人以上など一定規模以上の会社で働く場合はこの扶養から外れる金額が106万円になる場合もあります。

旦那さんの健康保険と年金に入ることができる専業主婦を第3号被保険者と言いますが、扶養から外れることで自営業とかと同じ第1号被保険者になってしまうということです。

中途半端に稼ぐよりは思いっきり稼いだ方がいい

もともと、この扶養控除や第3号被保険者という制度は「男が働きに出て、女性は専業主婦で家庭を守る」という形態が主流だった時代に作られた制度で、専業主婦を優遇する制度です。このため、働きに出てお金を稼ぎ始めたら専業主婦の地位を捨てることになるため、この制度の恩恵を受けられなくなります。「お金を1円でも稼いだらそれはもはや専業主婦ではない」としてしまうこともできるのでしょうが、それはさすがにひどいため103万円や130万円といった程度までは専業主婦の範囲と認めていると考えることもできます。

現在のような共働きが主流の時代になってくると、共働きで子育てをしているお母さんの方が当たり前になってきており、旦那さんの意識も育メンやらで家事は二人で分担するものと意識が変わりつつあります。というか、共働きのお母さんは家事は旦那さんと平等に分担するべきだと思います。

もはや専業主婦は優遇されるべきと考えられていた時代は終わっており、稼ぐチャンスがあれば中途半端に稼がずにもう一つの柱になる勢いで思いっきり稼いで壁を突破する方が現代の流れに合っているのかもしれません。