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会計士時代には見かけなかった小規模な会社特有の不思議な会計処理

独立して税理士業務をやるようになって、会計監査を受けているような規模が大きな会社では見ることが無かった税務基準に基づく会計処理をよく見かけるようになりました。

小さな会社は会計処理の厳密なルールがよくわからないまま課税を逃れようとしたり、会計基準上は赤字の会社を黒字に見せようとしたり、正規の簿記に則っていない会計処理をやっているのを見かけます。

例えば、赤字の会社がよくやっているのが、減価償却費を会計基準の計算方法よりも少なく計上する、もしくは計上しないという処理です。減価償却費は非資金損益項目の代表的な勘定科目で、キャッシュが出ていっているわけでは無いため、税務上は本来は認めたくない費用項目です。しかし、固定資産を支出のタイミングで一気に損金算入し、それ以外の年度は損金を計上しないとあまりにバランスが悪いため、税務上しぶしぶ認めているものです。

したがって、会社が意図的に計上しないという事も認められます。そっちの方が税金が増えるため国税も文句はありません。このルールを利用して、赤字なのに減価償却費分を調整して黒字に見せかけ、金融機関からの借入を円滑に行う、経営成績をよく見せるというのは、監査が入らない小さな会社では一般的に行われているようです。

節税のため?によく見る会計処理

もう一つよくあるのが、複数のグループ会社間で資金を融通するというもので、流動資産、流動負債の勘定科目を使い儲かっている会社から儲かっていない会社に資金を融通したり、逆に資金繰りが厳しくなると返してもらったりするという処理です。こういった処理は小規模な会社の中でもある程度規模が大きくなっている会社で行われます。

例えば、グループA社の資金を、資金需要が大きいグループB社に渡した時に、グループA社では立替金とか仮払金と言った勘定科目で処理しておき、グループB社は仮受金や未払金のような勘定で処理します。大抵の場合、資金は行ったりきたりせず、どちらかからどちらかへ一方的に流れていってしまいます。

すると、長期的にA社には債権がB社には債務が積みあがっていきます。しかし、A社がB社に資金を融通し続けないとB社が成り立たないという状況が解消されない限り、この債権債務の関係は解消されません。

そのうちB社が成長してくると、A社から仕事を受注する形で資金を融通してもらうようになります。するとA社では費用計上、B社では売上計上されるようになりますが、今度はA社が今まで資金を融通してきたこともあって、全額を支払わず未収金・未払金のような形で逆の債権債務が積みあがり始めます。

こうなってくると、A社とB社の間で本当はどれだけ債権債務があるのか徐々にわからなくなってきて決算書上の貸借対照表の情報の信頼性が無くなってしまいます。これをきれいにしようと債権を持っている方が相手の債務を放棄して相殺しようとすると、債権を放棄した側は寄附金扱いになり、寄付金の損金算入は限度額が設定されるため、一部しか損金にできません。一方で、放棄してもらった側は債務免除益が生まれ課税されることになります。

これは、例えばA社が費用計上したことによって節税できたと思いきや、債権債務を解消しようとしたときに課税が発生することになり、ある意味課税の繰り延べという節税のようで節税になっていない状態という事になります。

このような会計処理は一見うまいことやっているように見えて、中長期的に考えると会社を成長させようとしたとき、決算書を経営意思決定に有用な情報として利用しようとしたときに大きな足かせになり、問題を先送りしているにすぎないことが分かります。


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