独立開業を目指す公認会計士・税理士の方向けの記事

独立した公認会計士の3つのルート

独占業務という強力な武器

今日は監査業務の下請けのために打ち合わせに行ってきました。公認会計士は税理士登録が可能ではありますが純粋な税理士の方に比べて、税務に関する経験は浅く、顧問先になる中小企業の社長さんとの接点もほとんどないため圧倒的に不利になります。反面、しばらくの間は監査業務の下請けという業務があり、純粋な税理士の方が早急に顧問契約を増やして基盤を作る必要があるのに対して比較的のんびりしていてもなんとかなります。

独立して痛感するのは、監査業務にせよ税務にせよ独占業務という規制に守られた業務の強さです。これほど大きな参入障壁も珍しく、このビジネスモデルを最初に考え展開していった先人は偉大です。この点において通常の起業とは比べ物にならないほど生存確率が高くなります。

独占業務と共に生きる2つのルート

最も一般的な独立開業後の公認会計士のルートとしては「税理士ルート」です。公認会計士の独占業務である監査業務は大きな組織に対してこちらもチームで対応する必要があるため、個人事務所ではできません。そこで、公認会計士から税理士にクラスチェンジすることで税理士として生きるというのが一番多いパターンかと思います。

私はほとんどそれ以外ないと思っていましたが、ここにきてもう一つのルート「フリーの会計士ルート」というものがあることがわかりました。これは、ここ最近監査が義務化されている法人が急速に拡大しており、大手監査法人はリスクと報酬が見合わないため手が出せず中小会計事務所に監査業務のニーズが増大しているという事情があります。さらに、昨今の情報共有のためのITツールの進化により個人事務所同士の連携が容易になり個人事務所でありながらチームで監査業務を行えるようになってきているというのも後押ししています。

監査業務は、顧問税務業務同様、いったん契約が締結されるとよっぽどクライアントの不興を買わない限りは毎年続く安定した業務であるため、個人事務所でも対応可能となると今後はこのフリーの会計士というポジションの公認会計士は増えていくのではないかと思います。

独占業務に頼らないコンサルティング業務

公認会計士は、M&Aや再生案件の業務で中心的な役割を果たすことができます。これらの業務は独占業務ではありませんが、士業が担当することが多く、中でも公認会計士・税理士は機会が多いと思います。中小企業のいわゆるスモールM&Aは今後団塊の世代が引退することで増加することが予想されており、こういった独占業務ではない業務に特化した「コンサルタントルート」というのももう一つの個人事務所の生き方として存在していると思います。

各ルートは他のルートとの併存が可能でハイブリット型で広範囲な業務に対応するというパターンも考えられます。そうなるとそれぞれに精通する必要がありますが、それこそ自分がどうなりたいのかという前回の記事の話が重要になってくるのではないかと思います。