国の借金問題
こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、いわゆる国の借金問題についてご紹介させていただきます。
みなさんは、借金をしたことがありますでしょうか。私は住宅ローンを組んでいるので結構な額の借金があります。5年ぐらい前に中小企業診断士の集まりに参加した時に、私に盛んに独立を勧めていた先生が、私が「住宅ローンを組んで家を買いました」という話をした途端、独立を勧めるのをやめました(笑)。それから多少は返済しましたが、まだまだ残っているのに独立してしまいました。
借金というのは確実に返さないといけないものです。もちろん踏み倒すこともできるのでしょうが、そんなことをしたら社会的信用は地に落ち、いろいろと不自由な生活を送らなければならなくなります。
国の借金という誤解を生む表現が定着した政府債務も同様です、と言いたいところですが、私は違うと思います。国の借金と私の借金の最も大きな違いは、私はお金を発行できませんが、国はお金を発行できるという点です。つまりお金を発行すれば返せてしまいます。借金はし放題です。
この感覚が理解できず、「いや、そんなはずはない。借金し放題、お金発行し放題でやってしまうとインフレになってしまう!」と自分の借金は返済に何らかの対価を犠牲にする必要があるため、「何の犠牲もなく借金を返すなんて話がうますぎる。何かとてもよくないことが起こる!」と思いたくなってしまうのだと思います。
インフレになると借金が実質的に減る
確かに、「どんどん借金してお金を使う➡お金をどんどん発行して借金を返す」を繰り返すとインフレになると思います。なので、「今はインフレになったら(これ以上のペースでインフレが加速したら)困る!」という局面ではこの手は控えなければいけません。しかし、今のように何十年もGDPがほとんど増えないデフレ環境下ではインフレは歓迎すべき現象です。他国はそうやって日本が足踏みしている間にGDPを何倍にも増やしています。
そして、インフレによって1円の価値が下がっていくと、過去の借金の価値も下がっていきます。下のグラフは直近半世紀の消費者物価指数です。
1970年から1990年までに消費者物価指数は約30から約90に上昇しています。つまり、物価が3倍に上昇したということです。1970年では100万円で買えていたものが、1990年では300万円ないと買えなくなりました。しかし、1970年に100万円で借りたお金は、利息を除けば100万円で返済できます。また物価が3倍になったということはもらえるお金も3倍になっているということです。1970年にもらえていた給料と同じ価値の金額を1990年にもらうためには3倍の給料をもらう必要があります。こうしてインフレが安定的に続けば、過去の借金の価値はどんどん圧縮され、やがてはほぼゼロになります。
ちなみに日露戦争時の国家予算は3億円、外国からの借金は13億円で国家予算の4倍以上でした。今の国家予算は100兆円です。13億円は全体の0.001%です。ほぼゼロに近い数字です。このように、経済を成長させ安定的なインフレを起こすことで借金の返済負担を軽減していくのが政府負債の本来あるべき返済の在り方です。
ところが、1997年から2017年の20年間は物価が横ばい。下手したら物価が下がっています。こうなってくると、借金の価値も減りません。
インフレ環境下ではお金の価値は持っているだけで減っていくため使ってしまおうという動機が働きますが、このように物価が変わらないもしくは物価が下がるような状況ではお金は持っていても価値は減らず余計なことには使わないで取っておこうという動機の方が強くなります。するとますますお金は使われずインフレにもなりにくくなります。
こうして政府債務がインフレによって圧縮されることなくその存在感がどんどん増していき、今のように問題視されるようになりました。あげくデフレ要因になる税収増の言い訳に使われてしまい、ますます悪循環を生むという構図になっています。
政府債務は「将来のツケ」ではない!
話は戻りますが、政府は借金をどんどんしても将来のツケにはなりません。自分でお金を発行して返済すれば問題ないからです。むしろ、「お金が無い!」と対価を払うの渋って仕事を作らず、その結果仕事が無い人を大量に生み出し、何も経験できず、後世に伝えるものもない人がたくさん生まれ、国全体の生産力が減退していくという状況のほうが将来にツケを回すことになります。
お金はあくまで道具です。我々が見なければいけないのは、お金ではなく「国力」すなわち国民一人一人が何らかの価値あるものを生み出す力を養い育てられているかどうかではないでしょうか。お金は後からついてきます。政府に関しては本当に後からついてきます。
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