会計

真実は一つ?決算書の数字は目的によって変わる

会計基準と税務基準

こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、専門分野に関係した日々感じたことを紹介させていただきます。

「うちは正直に会計処理してますから、決算書に嘘はありません」

税理士が決算書を作成している会社の経営者さんがこのように言って決算書を提示する場合、その経営者さんが嘘を言っていなくても決算書の数字が正しくないときがあります。

「ああ、税理士が間違えたんだね」と思われるかもしれませんが、違います。

決算書というのは、本来会計基準に基づいて作成されるものですが、会計基準と税金を納めるための会計処理(税務基準)にはズレがあり、申告時に調整する必要があります。

何故そんなダブルスタンダードになってしまうのかというと、会計基準は「あんまり積極的に利益を見込みすぎると、何か想定外なことが起こったらこわいから確実な利益だけ知りたい」というニーズがあり、100%ではないものの、ほぼ確実に出るであろう費用・損失をできるだけ反映させようとします。
他方、税務基準は「見積もりの費用・損失を大きくされて納める税金が少なくなったら困る。100%確実なものしか認めません!」という話であったり、「会計基準上は費用かもしれないけど、費用にしなくてもいいですよ(そっちの方が税金が増えるから)」という事情があり、会計基準とズレてきてしまいます。

場合によっては合理的な税務会計決算書

通常であれば、「会計基準ではこうだけど、税務基準でこの損失は認められないから、いったん無かったことにして」といった処理が必要になりますが、「そもそも決算書をできるだけ税務基準に寄せて作ってしまえば、あとあと楽だ。社長(=株主)も決算書ほとんど見てないし」という話から決算書を税務基準に沿った形で作成してしまうという、社長が株主の中小企業特有の事情があります。これは、決算書を経営者が利用しないのであれば合理的な考え方です。

ちなみに公認会計士が会計基準に沿ってきちんと監査することが義務付けられているような会社では、このようなことは起こりません。

決算書を読めるようになったなら

もし、決算書を読めるようになりたい!と思い、決算書を利用した経営意思決定を取り入れていきたいと思うのであれば、この事実をちゃんと認識しておかないと、「決算書が間違っている!」と勘違いしてしまうかもしれません。

会計情報を活用した経営について知りたい! などご相談がありましたら問い合わせフォームからよろしくお願いいたします。