米国株取引が活況を呈した感のある2020年でしたが、個人投資家の場合、株式の評価損を確定させないと当期の損失としては認められません。
個人投資家が評価損を確定させた方がいいタイミング
法人については売買目的有価証券は時価評価なので、評価損も損益に含まれます。そのため、損失を確定させようがさせまいが損は経費として算入されることになります。
しかし、個人投資家で所得税の株式譲渡所得に該当する場合は、確定した損益がベースになります。そこで、下記のようなケースの場合損失を確定させないと税金が発生してしまいます。
2020年の確定利益 100万円
2020年の未確定損失(含み損) 120万円
株を塩漬けにして損が拡大してしまっているため放置しているものなどがあっても、確定した利益が100万円あるのであれば、約20%(20万円)の譲渡所得税が課税されます。損失を確定すれば0円です。
いずれ必ず持ち直すはずという確信があり、評価損をそのままにしておきたければ税金を払わないといけませんが、このままどうなるかわからないという状態であれば、利益と相殺する形で損失を確定させ、税金を払わないというのも一つの手です。
いつのタイミングまでが2020年分になるのか
株式市場は30日まで取引可能ですが、30日に取引した結果は、2020年分に入りません。その2営業日前である28日に取引した結果が、2営業日後の30日に確定します。29日や30日の取引の結果が確定する2営業日後は1月になってしまいます。
このため、30日ギリギリになって慌てて損失を確定して利益と相殺しようとしても、相殺はされず来年の損失として認識されます。その結果、税金を払わなければならなくなります。今年は30日が水曜日のため28日が取引の最終日になりましたが、これが30日が土曜日だったり日曜日だったりすると、その分前の日付になります。
株主優待も同じ理屈なので注意
この話は株主優待についても同じことが言えます。すなわち、12月末に株主である人に株主優待が提供される場合、12月末に株主になるためには12月28日に株を買っておく必要があります。30日まで株が売買できるからと言って、30日ギリギリに株を買っても対象になることはできません。
逆に、28日に株を買い、29日に売っても12月末時点で権利が確定しているのは28日の株を買ったというタイミングのもので、29日の売ったことによる変動が反映されるのは1月に入ってからになるため株主優待の対象になります。
法人は時価評価
法人として株の売買をやっている場合については、この話は全く当てはまりません。法人が保有する売買目的有価証券は時価評価する必要があります。つまり、評価損も損失として認められることになります。逆に、評価益(含み益)も利益として認められてしまいますので、利益を確定すると税金がかかるからとホールドし続けている株についても利益が出たとみなされます。
この点、一人会社など、税金面から法人成りしている実質個人の方で個人・法人の両方で株の取引を行っている方は混乱するところですのでご注意ください。