売上高5,000万円までの事業者が対象となる簡易課税制度
売上高が5,000万円までなら採用できる消費税の簡易課税制度というものがあり、仕入税額にかかわらず一定の割合を納付する消費税から控除することができます。原則通り対応する仕入税額を課税売上による税額から引くものを本則課税と言いますが、一般的には簡易課税制度の方が支払わなければならない消費税は少なくなることになります。
この簡易課税制度には、みなし仕入れ率という事業区分ごとの割合が設定されており、例えば卸売業なら90%、小売業なら80%と言った具合になっています。
会社は一種類の事業のみやっているとは限らない
その会社が例えば小売業のみやっているというのであれば話は分かりやすいのですが、例えば自動車整備・中古車販売の会社などは、一般の消費者に中古車を販売するのであれば小売業になりますし、中古車のオークションに売る場合は卸売業になります。また、その中古車を整備した後に販売するという事であれば製造業です。整備のみやるのであればサービス業になります。
このように、一つの会社の中に様々な事業区分が混在していることがあり、そういった場合にはきちんとこの売上は小売業の売り上げ、この売上は卸売業の売上と言った感じで分けておかないと、簡易課税制度を利用することはできません。
最初から会計情報をきちんと整理しておくことの大切さ
単純にものを売った時に全部売上高で整理していると、後でこのような制度を利用しようとしたときに遡って事業区分を分けるために調査しなければならなくなり、作業が大変になってしまいます。このような状況に陥らないためにも、当初から税理士等の専門家に話を伺い、最適な方法について提案を受けていればその後の作業が煩雑にならず、きれいな決算書を作成できるように指導を受けることができます。
消費税は「全ての人に平等に課税されるわかりやすい税!」と思われがちですが、消費税の抜け道を様々な人が編み出した結果、抜け道をふさぐために大変に複雑な制度体系になってしまっています。税理士が賠償しなければならなくなるケースも消費税が一番多いようです。
とくに、高額な資産を購入することによる消費税の還付を狙ったスキームのせいで高額な資産を購入する際の本則課税の強制適用などはパターンが多岐に渡ってしまっており、還付スキームと制度改正のいたちごっこの状況です。
このような中、税について全く分からない経営者が税理士の助けも借りずに正確な納税を実現することは非常に難しくなっています。