損害保険の営業をやっている高校時代の後輩から「従業員に保険を掛ける際に、全社員が対象じゃないと福利厚生費にならないのは知っているんですが、顧客は100名ぐらい従業員がいてとても無理なので幹部社員のみにしたいんですが…」という質問がありました。
幹部社員のみでは福利厚生費ではなく給与として扱われますが、一部の従業員という事であれば方法が無いわけではありません。
結果的に全社員が対象になっていればOK
対象を「幹部社員」としてしまうと、退職まで幹部にならない従業員もいるため福利厚生費では税務調査で否認される可能性が非常に高いと思われます。しかし、「○○歳以上の全社員」という風に、ある一定年齢に達したら無条件にすべての社員が対象になるというルールであれば認められるようです。
ポイントは、全ての従業員に等しくその恩恵を受ける可能性があるかどうかという点で、年齢は放っておいても勝手に上がっていきますので全従業員が恩恵を受けられる福利厚生という事になります。
その後輩から、この話に派生していくつか質問を受けました。
疑問①「給与じゃダメなんですか?」
そもそも、給与でも経費になるんだから福利厚生費に無理にしなくてもよくないですか?という疑問です。法人から見ると確かにそうかもしれません。従業員側に不利益があるため給与よりも福利厚生費がいいというのが回答です。
給与となると従業員に課税されます。つまり、従業員に税負担を押し付けたことになるのです。その代わり保険をかけてもらえるのですが、従業員からしてみれば「保険より現金で欲しい…」というのが本音でしょう。
福利厚生費であればこの問題は生じず、法人で経費になるだけで従業員に影響はありません。それどころか従業員は保険もかけてもらえていい事しかありません。
疑問②「支払保険料じゃないんですか?」
保険料を法人が支払っているんだから正しい勘定科目は「支払保険料」じゃないですか?それなら給与の問題はないですよね?という疑問ですが、いい質問だと思います。
なぜ、「支払保険料」が使えないのか。それは保険金を受け取る人が従業員だからです。逆に、保険金を受け取るのが法人であれば支払保険料になるため「福利厚生費か給与か」という論点は発生しません。
後輩が顧客に販売しようとしている保険は、がんになったら無制限に保険金が貰えるというものですが、その保険金の受取人は従業員です。このため福利厚生費か給与かという論点が生まれているのです。
話がそれますが、このがん保険は癌になると無制限に保険が出るというので病院も遠慮なく先端医療を使えるという事で非常に評判がいい商品とのことです。
そこで私が逆に質問した「がん保険って損害保険じゃなくて生命保険じゃないの?」という疑問については別の記事で書きたいと思います。
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