10月5日に公表されたアンケート調査結果
10月5日に医療法人の監査報酬についてアンケート結果が公表されました。医療法人にとっては会計監査は突然降って沸いたコスト要因で、まともな監査を行うのであれば年間数百万円レベルのコスト負担は避けられず、小規模な医療法人にとってはかなり大きな負担となっています。
アンケート結果を見てもやはり何のためにやっているのかよくわからないという意見や、もっと監査の義務がある対象法人を大規模なものにしてほしいという意見が見られました。
気になる報酬額ですが、医業収益が99億円までの医療法人については、2百万円~6百万円といったところで、必ずしも医業収益と比例して金額が決まっているわけでは無いようです。これは会計監査を実施する会計事務所も大手監査法人のような大規模な組織ではないため、裁量である程度自由に価格設定ができるためなのではないかと思います。
安く簡単な監査しかしない会計事務所と高く丁寧な監査をやる会計事務所とがあるという事を暗に物語っています。
医業収益が100億円以上になってくると監査報酬も1千万円を超えてきており、四大監査法人も入ってきているようです。四大監査法人が入ってくると、監査報酬も数千万円規模になります。
監査報酬は高いか安いか
純粋なコスト負担となる監査報酬については、実に67%の法人が高いもしくはやや高いと感じているようです。突然監査を受けろと言われ、特にメリットを感じないことに対して多額の報酬を払わなければならなくなったのでもっと多くても不思議ではありません。むしろ3分の1も安いもしくはやや安いと感じている法人があることの方が驚くことかもしれません。
監査報酬を安いと感じる理由は、報酬に対して対価を得られていると感じているからだと思いますが、内部統制や会計処理の適正化など「法人の会計周りを整備してもらっている」と感じている医療法人が一定数居るという事になります。
それだけ、自分たちの会計処理に自信が無くそのアドバイスを受けられることについてメリットを感じる医療法人も思ったより多いのかもしれません。
今後の流れ
医療法人の監査は今後ますます小規模な法人も対象に実施されるようになってくると思いますが、今後はオンライン監査による低コストの監査などIT等を利用した新しい監査が生まれてくる可能性があります。
小さい会社ほど監査の手間がかかり、その割に報酬は大きくならないという現状があり、より小規模な会計事務所が監査業務に対応することになるのではないかと思います。