経理業務の効率化に関する考え方
経理業務を効率化するにあたってその情報源である取引について考えないわけにはいきません。取引には発生主義に基づく未決済取引(売掛金/売上や仕入/買掛金の計上等)、未決済取引が決済された際の取引(現預金/売掛金の計上や買掛金/現預金の計上等、最終的に現預金が関係することが無い非資金取引(減価償却費/固定資産や貸倒引当金繰入/貸倒引当金の計上等)といったものに分けられます。
このうち、決済取引については昨今の銀行口座の会計システムとの同期により大きく効率が向上しました。未決済取引については、会計システムではなく販売管理システムや購買管理システムといった別のシステムで管理されていることが多く、そういったシステムと会計システムとの連携は会社によって大きく差があり、いまだに手入力しているところは効率が悪いですし、システム間をデータ連携できているところは決済取引の同期と同様に効率化されています。
クレジットカードを利用した購買に関しては、銀行口座と同じぐらい同期が可能になっており、効率化が進んでいます。
非資金取引はほとんど決算整理仕訳として、決算を行う際に実施するため、最終的な財務書類作成までのリードタイムの短縮に大きく関係していますが、なかなか効率化が進みません。組織の規模が大きくなればなるほど情報の整理が大変ですし、年に1回の作業も多く、とりあえずその年の作業を終わってしまえばしばらくはやらずに済み、効率化しても削減できる業務量が少ないためなかなか効率化しようという動きにもなりません。しかし、決算早期化を考える際には真っ先に考えた方がいいところだと思います。
給与計算と経費精算
未決済取引から決済取引の流れの中で、大きく課題になっている取引として、給与計算と経費精算というものがあげられます。給与計算は、一見すると機械的に計算できるように見えるのですが、正社員からアルバイトまで様々な働き方があり、正社員の中にも最近では時短勤務やフレキシブルワーキングなど様々なパターンがあるため、全てに対応して自動計算するというのは非常に困難です。
特にアルバイトは、人事給与システムでも対応できずExcelで管理している組織も多い印象です。この給与計算は毎月働いているすべての人を対象として実施される処理であるため、効率化による業務量削減効果も期待できます。
理想は、従業員の勤務状況から自動的に勤怠管理が行われ、勤務時間の情報をシステムで自動的に収集してその情報を基に給与計算を行うという世界です。パソコンが無ければ仕事にならない仕事や、工場などで同じ場所で必ず作業しなければならない場合などでは可能な気がしますが、いまだ実現はできておらず、自己申告に頼らざるを得ない状況です。
また、経費精算は申請する従業員が領収書を添付して提出して、それを経理で確認してと紙ベースでやる作業を避けて通れず、システム化が難しいところです。しかし、それも電子帳簿保存法の改正が実施されて徐々に要件が緩和されてきているため、今後は電子で申請も可能になってくるものと思われます。
こちらも、クレジットカードで決済して、その情報が会計システムに同期されて従業員が意識することなく経費精算がされる状況が理想ですが、コーポレートカードはかつて流行っていた気がしますが、今はあまり聞きません。
このような経理業務の低負荷化、効率化についても顧問業務の中でコンサルティングしていきます。