変額保険の勉強をして出てきた金融自由化の話
生命保険を積極的に販売するつもりはありませんが、昔からお世話になっている保険営業の知り合いの方に代理店の資格を取るように言われて勉強しています。生命保険の中には変額保険という投資信託と保険を組み合わせたような保険があり、これは運用がうまくいけば払った保険料以上の保険金額が受け取れます。
ただ、通常の保険と仕組みが異なり運用に失敗した場合のリスクもあることから、特別に試験に合格している人でなければ販売することができません。
昨日その試験を受けに行ってきましたが、勉強をしていて日本の金融自由化がこの変額保険の販売にも影響を与えていることを知りました。
金融自由化、またの名を金融ビッグバン
私が大学生の頃、「金融ビッグバン」という言葉が飛び交い、様々な書籍が販売されていました。1996年に始まった金融制度改革のことです。それまで、関係が深い銀行・証券・保険は相互にお互いの領域を侵さないように厳しく規制されていましたが、このビッグバンによってその壁が取り払われました。また、金利についても政策的にコントロールされていたものが自由に決められるようになりました。
この金融ビッグバンによって、証券手数料も自由化され、インターネットによる株取引が個人でもやりやすくなり、大学でも株取引のデモをみんなゲームのようにやっていました。そうして株式市場にお金が流れた結果2000年頃までITバブルと言われる小規模なバブルがあり、光通信(当時は有名な会社でした)とかソフトバンクとかヤフーとか、何倍にも株価が上がった株がありました。日本のITバブルは、2000年に光通信が不正で株価が100分の1に下落したことをきっかけに崩壊しました。
規制を緩和するのはいい事なのか
当時は、規制緩和や自由競争というのは経済を効率化し、よりよい世の中にするための魔法の道具のような扱いを受けていました。しかし、これら政策は結局その後の日本経済を復活させることは無く、失われた時代は長期間にわたり継続しています。
私も当時は、「小さな政府」とか「自由主義経済」とか、そういったものがいいのだと盲目的に考えていました。大学当時は経済学部なのにほとんど経済学について知りませんでしたが、公認会計士の勉強のなかで経済学を勉強し直し、マクロ経済学(ケインズ経済学)について改めて知ったことで、規制するべきか規制緩和するべきかというのは状況によるという事を知り、少なくとも失われた時代と呼ばれる不況期には規制というか国は積極的に介入する必要があるという事を知りました。
規制緩和というのは、乱暴な例えかもしれませんが「庭に何も手を入れず放置する」という状況に似ています。庭に何も手を入れなければ、家の住人は庭仕事が必要なくなり楽になります。この家の住人が政府にあたり、仕事が減るので小さな政府が可能になります。そうすると庭には雑草が生え始め、木は方々に伸び、見た目がひどいことになってきます。ただ、見方によればこれはより強い植物が生き残るためのフェアな戦いの場になったという事で、自由で公正な市場が実現していることになります。
この「自由で公正な市場=本来の自然な姿で美しい」というイメージの実態は、この雑草が生え木が好き勝手に枝を伸ばした庭のようなものなのではないかというのが、その後数十年を経て振り返った感想です。