新型コロナによって増加する民間のキャッシュ
持続化給付金や定額給付金など、政策によって民間企業や家計に多額のキャッシュが流れていっています。多額と言っても、経済にどの程度のインパクトがあるのかは不明ですが、恐らく今までこれほどの金額が配られたことは無かったと思います。
新型コロナによって人の移動が制限された結果、誰かから誰かにキャッシュが渡る流れは止まってしまいましたが、市場全体におけるキャッシュそのものの量自体は特に変わっていなかったはずです。
そこにキャッシュが追加されることによって何が起こるのか。これは一種の社会実験をやっているような状況です。今回の新型コロナによって経済活動が停滞した結果、キャッシュの流入が止まってしまった法人(民間企業等)や個人(家計)は深刻な問題を抱えているため最もクローズアップされていますが、実はキャッシュの流入はそれほど変わらず、もしくは増えた法人や個人もいるはずですし、キャッシュの流出が減少した法人や個人もいるでしょう。
新型コロナの影響が薄れていくにつれて、純粋に保有するキャッシュの量が増加した法人や個人の需要は増大すると考えられます。その結果、反動で景気が好転する可能性があります。
その片鱗は日経平均にも表れています。
新型コロナの影響はいまだに色濃く残っており、今なお予断を許さない状況ですが、日経平均は3月後半に底を打った形になっており、もうすでに回復に向かっているように見えます。
これは、政府が多額のキャッシュを市場に流したことから、そのキャッシュを当てにして余剰資金が株式市場に流れ込んでいるのではないかと思います。
今後はインフレ?
これをきっかけに、今後はインフレになるのかというと、ちょっと難しいかもしれません。というのも、この給付金は1回きりのものであるのに対し、デフレ方向に継続的にプレッシャーをかける要因があります。消費増税です。消費税は今後継続的に消費するごとに10%取られてしまうので、長い目で見たら給付金でもらえた額よりも大きくなってしまいます。このため、一時的にデフレ圧力を緩和する効果はありそうですが、現実的には相変わらずインフレ方向に風向きを変えるには力不足は否めないところです。
とはいえ、経済は複数の要因が複雑に絡んで、結局は結果から理屈付けをされることが多いので今後景気が良くなり、インフレになる可能性もゼロではありません。