経済

福岡県持続化緊急支援金の2020新規開業特例の落とし穴?-国の持続化給付金との大きな違い

福岡県持続化緊急支援金にも2020年新規開業特例が設定されています

福岡県持続化緊急支援金についても、2020年新規開業特例が設定されています。締め切りは今月末なので該当される方はお急ぎください。30%以上50%未満の売上減少の事業者を救済するための制度ですが、福岡県のホームページに「特例計算シート」というExcelがあり、試しに下記のようなデータを入れてみたところ「対象外」になりました。

これが対象外?

どういうことかというと、1月~3月の売上平均は90万円(1月の10万円+2月の20万円+3月の60万円)÷3ヵ月で30万円です。4月、5月は20万円なので、33.3%の売上減少で、30%以上50%未満の売上減少です。これが福岡県持続化緊急支援金の判定では対象外になってしまいます。

想定したシナリオとしては、開業当初はあまり売上が無かったものの3月から軌道に乗り始め、4月以降はコロナの影響で売上が激減といったケースです。なぜこれが対象にならないのか意味が分からず、福岡県に問い合わせたところ「比較対象には1月~3月も含まれます」とのことでした。

つまり、このデータだと1月が10万円で、1月~3月の平均売上30万円と比較して66.6%の売上減少になってしまうことから50%超の売上減で対象外になったというわけです。

これならOKですが…(腑に落ちない)

「でも50%超の売上減少なら国の持続化給付金がもらえるじゃない!」と思ったかもしれませんが、国の2020年新規開業特例を見ると以下のように記載があります。

2020年1月から3月の間に開業した場合であって、2020年4月以降
新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2020年の開業月から
3月までの月平均の事業収入に比べて事業収入が50%以上減少した月
(2020新規開業対象月)が存在する場合

個人事業者等持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)より抜粋

国の方は、私が当初考えていたイメージで1月~3月は対象になっておらず、4月以降と1月~3月の平均売上を比較しています。したがって、先ほどのケースは国の持続化給付金にも該当しません。

個人的には国の判定の仕方の方が普通だと思います。福岡県の判定の仕方だと、月の終盤に開業した人は、ほぼ間違いなく弾かれてしまいますし、逆に開業当初ちょっと売上が少なかっただけの別に支援する必要が無い人(1月から5月にかけて順調に売上が伸びていっている人)も対象になってしまいます。

これも対象…本当にこれでいいんでしょうか

そういう意味では、「私は順調に売上伸びてるし、対象になるわけない」と思っている方は調べてみる価値があるかもしれません(県としては自粛を期待しているのかもしれませんが)。なぜ国と同じ条件で30%以上50%未満売上減少のケースとしなかったのか…。

この「特例計算シート」というのがあったおかげでこういったことがはっきりとわかり、それはよかったのではないかと思います。このシートは制度の内容を正確に反映しており、間違っていないことから「こういうケースも当てはまるからルールおかしくない?」という議論ができます。また、常識ベースで最初のケースのような人が「どう考えても当てはまるのにおかしい!」というクレームを付けることは十分に考えられますが、このシートのおかげで事前に結果が分かり、揉めにくくなります(揉めないとは言い切れませんが)。これもまたITの重要な役割だと思います。

ともあれ、2020年新規開業特例については、国の持続化給付金と県の持続化緊急支援金にはこのような大きな違いがありますので判定の際には注意が必要です。