節税や税務について知りたい経営者の方向けの記事

海外不動産を利用した節税ができなくなる?

保険会社の税制改正セミナーに参加してきました

保険代理店の知人に誘われて保険会社の税制改正セミナーに参加してきました。保険と関係する税金の話が聞けるのかと思いきや、今年の税制改正では保険と関係する改正は無かったようで、ほとんど保険以外の税制改正の話でした。私としてはありがたかったですが、保険代理店の方にとっては退屈だったかもしれません。

今回、税理士が顧問になるような中小企業の改正としてはほとんど影響はないようです。そのあと、懇親会の席が設けられて、そこで同席した税理士の方は、海外の不動産を利用した節税ができなくなったことが一番印象に残ったと言っていました。

海外不動産を利用した節税とは

海外不動産を利用するとどのように節税できるか(今まで出来ていたか)というと、まず海外で償却期間がほぼ終わっている不動産を購入します。この場合、中古物件として購入することになり、耐用年数はかなり短くなります。一方で、海外の不動産は何十年たっても建物の価値が落ちずにかなりの金額で取引されます。

例えば、4,000万円の海外不動産を購入し、中古物件のため耐用年数が4年だったとします。すると、毎年1,000万円の減価償却費が発生することになります。これを税率が最高税率の45%に達している富裕層の方が給与所得のような総合課税の所得と損益通算すると、4年間毎年450万円の節税効果があります。家賃収入を無視していますが、無視できる程度の少額のものとします。

また、海外不動産は建物の価値が落ちないので、何年か保有していても同額の4,000万円で売却が可能です。売却時に収益が計上されて、結局課税されてしまうわけですが、譲渡所得の税率は長期譲渡所得(取得から5年以上経過後の譲渡)の場合、20%です。したがって、800万円課税されてしまいますが、節税効果は450万円×4年=1,800万円だったので、1,000万円の節税ができたことになります。これは最高税率まで所得がある富裕層の話で、一般人で税率20%程度の所得しかなければ意味がありません。

富裕層にはいろんな手段があるのだなと感心しましたが、これがちょっとやり過ぎと判断されてしまったのか、認められなくなってしまったそうです。

他にも保険商品を使ったテクニック

他にも、保険を使って法人で保険契約を結んで解約返戻金が低いうちに名義を個人に変更し、解約返戻金が高くなった瞬間に個人が解約して一時所得で受け取るというテクニックの話も面白かったです。一時所得は課税が所得の半分に対してしかかけられないので、普通に法人で受け取ったら節税効果はゼロですが、一時所得で受け取ると節税効果が生まれます。ただ、これも保険本来の役割から外れているため、そのうち禁止されてしまうのではないかと言われています。