独立開業を目指す公認会計士・税理士の方向けの記事

チームワークのこれから

会社組織に対する個人のネットワークというチームの考え方

独立したばかりの比較的時間に余裕がある時期の公認会計士には「監査を手伝ってもらえないか」という中小事務所からの誘いが時々あります。知り合いづてに連絡をいただき、所長と面接ような形式を経て、契約を締結するイメージです。

中小事務所のニーズとしては安定した労働力であり、できれば従業員として雇ってしまった方がリソースとして100%自由に使えるため、固定費になってしまうというデメリットはありますが、理想的です。

一方で、我々のような個人事務所になりたての人間のニーズとしては、サラリーマンになるならもといた事務所でもよかったわけで、自分の裁量でいろいろなことをやりたいというのがあるため、業務委託の一環として引き受けたいというのが本音です。

このニーズのギャップが生まれるのは、監査業務というのが、いったん監査契約が締結されると、毎年一定の業務ボリュームがほぼ確実に発生するからではないかと思います。監査契約がある限り、来期もその次も同じぐらいの業務が発生することが予測できるため、労働力は固定費でも囲い込んだ方が安定します。

これが、プロジェクト型のコンサルティング業務のような場合、プロジェクトが発生したら急激に人が必要になり、終わったら人がいらなくなるため、むしろ、必要な時に必要なリソースが確保できた方がコスト的には好都合になります。ただ、その場合でもプロジェクトがどんどん発生するような場合にはリソースの安定供給のため従業員として囲い込んだ方がいい事になります。

部分的な常駐という考え方

この「個人事務所としてやっていきたい(自分の裁量で自由にできる時間が欲しい)」という我々のような開業間もない零細事務所の想いと「安定的な労働力を確保したい(100%自分の事務所のために労働力を提供してほしい)」という中小会計事務所の想いを両立させる方法としては、「週2日」とか「月10日」とか、一定の期間について業務契約を締結して、必ずその日は常駐するというアイデアがあります。

その期間をロックして仕事の有無にかかわらず報酬を払うのか、その期間まで仕事が入ってきそうになったら零細事務所の方から連絡して調整可能か検討してもらう(ロックした事務所の業務が最優先)として、実際に稼働した分だけ報酬を払うという形態が考えられます。

こういった形態で業務を行っている事務所があるのかは不明ですが、情報技術の発達によって、遠隔での情報共有、コミュニケーションは以前よりかなり楽になっています。ドロップボックスを社内の共有ネットワークのように利用し、Zoomでテレビ会議を行うと言ったような組織の垣根を超えた業務遂行は非常にやりやすくなっています。今までにない自由な発想でチームを組成して業務を遂行することを考えてもいいのではないかと思います。

自分がどうしたいのかどうありたいのかを明確にイメージする

独立して気づいたのは、監査法人に勤めている場合に比べて、自分の目の前に現れる選択肢が何十倍にもなるということです。会社組織にいる場合は組織のルールに従う必要があるため、ある程度何も考えずに例え理不尽でも受け入れる姿勢が必要でした。しかし独立すると会社組織よりはるかに「自分は何をしたい」「こういうアイデアはどうか」という考えをいろいろな人に発信していかないといつの間にか流されていってしまいます。

自分が選択肢を「作る」という姿勢が重要になってきます。もちろん会社組織の中で働く場合でも自ら仕事を作り発展させていくというのが管理職以上には求められていましたが、その選択肢は所属している部署や会社のポリシー等によってかなり限定され、その範囲の中で作っていく必要がありました。

個人事務所では、突然「小説を書こう!」と小説を書き始めても「いやそれ業務と関係ないでしょ」とつっこむ人はおらず、小説で収益を上げても誰も咎めません。土方のアルバイトを始めても怒る人はいません(家族が「なにやってんの?」とあきれるかもしれませんが)。自分が一人でA社の税務とB社の会計監査を並行して実施しても「それ他部署の仕事だから!」などと言われることもありません。

この自由さが個人事務所の凄いところであり、全ての時間が自分がやりたいことのために利用できるというのが、会社組織では得られない経験だと思います。反面、自分の中に一貫したストーリーやイメージが無いと、迷走に迷走を重ねて、何をやっているのかよくわからずロクに仕事にならないことに大半の時間を費やしてしまうということになりかねません。特に私のような複数の資格を持つ人間は注意しなければいけないと思っています。

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