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中小企業診断士の平均報酬は1日当たり○○〇円?

中小企業診断士協会に入会しました

こんにちは。当ブログをご覧いただきありがとうございます。
この記事では、中小企業診断士の報酬について紹介させていただきます。

私は2008年に中小企業診断士試験に合格しました。え?今ごろ協会に入会?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、公認会計士や税理士と違い、中小企業診断士業務を行うにあたっては協会への入会が必須ではありません。これは中小企業診断士の業務の中には独占業務と言われる業務がないため、協会による管理がそこまで必要ではないからかと思います。

協会の入会費もバカにならないため、企業内診断士の間は特に入会していませんでした。独立開業するにあたり仕事の入口の一つとして今後は必要になるかもしれないと思い、また協会関係者の方の勧めもあって入会することにしました。

入会したことで、色々と規程類などが送られてきた中に診断士手帳というものがありました。診断士に関係する情報が色々と記載されている手帳で、ペラペラめくっていると、中小企業診断士報酬というページを発見しました。

中小企業診断士報酬

そのページには下記の通りの記載がありました。

診断業務…1日当り 10.5万円
経営指導…1日当り 11.0万円
講演・教育訓練…1日当り 12.5万円
顧問料…1日当り 17.0万円

そして、ページの下部には下記の但し書きがありました。

「上記診断等の報酬額は、本会が各県協会所属の会員診断士向けに行ったアンケート調査のうち、主に民間業務に従事している方の診断報酬の平均額であり、いずれの報酬も交通費は含まれないものである。」

中小企業診断士の報酬は適正か?

中小企業診断士は「足の裏の米粒」と言われていると、どこかのネット記事で読んだことがあります。その心は「気になって取りたくなるが、取っても食えない」って言うことだそうです。

この、食えない資格という評判の割には報酬の平均額はかなり高額な気がします。この金額で仕事ができるのであれば、年間で60日も働けば十分食べていけるのではないでしょうか。

この矛盾にはいくつか理由があると思います。

矛盾の理由①:「中小企業診断士」を探している人はいない

中小企業診断士の資格は公認会計士や税理士と違い独占業務がないため、「法定監査の対象となったから公認会計士を探している」とか、「税務申告を自分でやるのは不安だから税理士を探している」といった形で「○○だから中小企業診断士を探している」という人はおらず、「○○ができる人」であれば中小企業診断士でなくてもいいという問題があります。

何か業務実績があるわけではなく、中小企業診断士の資格をただ取ったという人はこの「○○ができる人」に該当せず、中小企業診断士として独立しても食べていくのは難しいです。徐々に何か得意分野を作り上げていき、特定の「○○ができる人」になるべく実績を積む必要がありますが、その最初の経験が大きなハードルです。

一方で、中小企業診断士の資格を取る前から何らかの経営コンサルティング経験がある人は「○○ができる人」として業務提供が可能になります。そういった方は前述の相場に近い金額で業務提供を行えるのではないでしょうか。つまり、中小企業診断士は食えないというよりは、経営コンサルタントとして食えるか食えないかという問題であって、中小企業診断士の資格はほとんど影響しないというのが実情のようです。

矛盾の理由②:神の見えざる手

経済学で、需要と供給が一致するところに自然と価格が決まるという有名な「神の見えざる手」という話があります。中小企業診断士が提供するサービスというのは多岐にわたるため、その価格もニーズによって幅があるはずです。

人によっては「月2万円ぐらいでちょっとした経営の疑問に答えてもらえる人が欲しい」というニーズの人もいれば、「月100万円出してもいいから経営の参謀としてある程度常駐していてほしい」というニーズの人もいると思います。前者の場合、受ける側としても対応可能だったとしても価格表を1日10万円程度で提示していると最初からあきらめられてしまう可能性があります。後者の場合には、中小企業診断士が月17万円の顧問料と提示していることに対してある程度の常駐を希望していたら中小企業診断士の方から断ることになります。

また、「プロジェクト形式でチームを編成するが、人が足りないのでコンサルタントとして参加してほしい。工数は読めないけど出せる金額は○○円」と1日10万円強という金額では括れないニーズもあると思います。

業務の幅がそのまま価格帯の幅になると考えられますが、この診断士手帳にあるような1日10万円程度というイメージがどうしてもまとわりついている結果、設定された価格が需要に対して供給過多になっているポイントにある可能性があり、その結果供給側が余っている≒食えないという可能性もあります。

こう言った情報を提供することで報酬をもらう業務の難しいところは、人によって情報の価値が違う、目に見えない商品といった理由で値付けが難しく、いったん値崩れすると取り返しがつかないという問題もあると思います。

当事務所でも工数として1日当りの単価は10万円を目安にしていますが、「この金額でこう言ったことを頼めないか」といった依頼も喜んで検討させていただきますので一度お問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。