複数の特性から差別化を図る
開業当時は特に見込みがあるわけでは無く、1年ぐらいは特に仕事らしい仕事が無い状況というのも覚悟していました。唯一仕事の発注が期待できるのは前職の監査法人でしたが、辞める前から依頼があった仕事も有休消化中にキャンセルになり、「これは期待したらダメだな…」と思いました。不要な時に簡単に切れるというのも独立したOBを使うメリットであるため、先行き不安にはなりましたが不満はありません。正しい使い方だと思います。
業務を獲得するためには他者との差別化が必要だと思いましたが、差別化について、「全く新しいものを生み出すのは難しいので複数の普通の特性を組み合わせる」という話を聞いたことがあります。つまり、無資格の経営コンサルタント事務所よりも、税理士・公認会計士事務所で経営コンサルタントをやる方がライバルは少なく差別化が図られます。また、税理士・公認会計士よりも、税理士・公認会計士でかつ中小企業診断士の方がより少なくなります。さらに、税理士・公認会計士・中小企業診断士でシステム監査技術者になるとさらに少なくなります。さらにその上トライアスリートとなると…さらに占い師も追加して…と唯一無二の自分という差別化が図られることになります。
しかし、こういう資格や個性の組み合わせで「いやー、差別化ができた」と思っていると、実はこれでは意味が無いことに気が付きます。
顧客から見た差別化でなければ意味がない
上記の差別化は、あくまで自分の中での他者との差別化です。税理士を探している人から見たら私が公認会計士の資格を持っていようが中小企業診断士の資格を持っていようが「税理士としてちゃんとしているか?リーズナブルな価格でサービス提供してもらえるか?」という事にしか興味が無く、付加価値として認めてもらえません。そうなってくると全く差別化要因になりません。
そこで、私としてはそういった複数の特性を求めている顧客を探さなければいけないことになります。「ただ税務をやってほしいんじゃなくて、会計のアドバイスや経営のアドバイスもできる人はいないか」と雑多な課題に対してそれぞれの専門家ではなくトータルで知見がある人材が求められるのであれば先ほどの差別化が活きてきます。一方で、そういった人材を求める人に対して最適なサービス提供ができるように知見を蓄えていく必要があるという事になります。
現状ではそれぞれの分野の仕事がバラバラに入ってくる
個人的には一人の顧客に総合的なサービス提供を適正な単価で提供したいという思いはあるのですが、今は公認会計士としての監査業務の補助、税理士としての顧問税務業務、中小企業診断士としてのコンサルティング業務、システム監査技術者としての情報セキュリティ監査業務といった形で仕事が入ってきている状況です。
これはこれで業務のポートフォリオができて偏らないことでリスク分散が図られるというメリットがあるのかもしれませんが、一人で様々な業務に対応するための研鑚が必要で非常に負荷がかかります。それぞれの業務の数が増えてくれば、それまでに積み上げてきたストックの使いまわしが可能になると思いますが、人を雇わない限りは全て自分で対応する必要があります。
自分の中での理想の部分も上手く相手にイメージとして伝えられるまでは明確にはなっておらず今後の課題だと思います。