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KPIとは結果数値の変動要因

KPI(Key Performance Indicator)とは

KPIという言葉自体はかなり前からある言葉ですが、数年前にKPIという言葉を私の周りでよく耳にするようになりました。でも知らない人は知らないようで、普通に会話の中でKPIという言葉を使っていると「KPIってなんですか?」と聞かれることもあります。

KPIとは結果数値に影響を与える要因です。と言っても意味が分からないと思いますので具体的な例を出すと、結果数値を「売上高」とした場合に、KPIは売上を増加させたり減少させたりする要因です。売上は販売単価×販売数量や客単価×客数などに分解できます。さらに販売数量は店舗数×店舗ごとの平均販売数のように分解可能です。

こうして分解していった結果、売上の増加要因は店舗の増加数に比例しているということが分かったとします。この売上の増加要因の増加店舗数(新規出店数-退店数)がKPIです。

ここで注意しなければならないのは、分解の仕方が適切でなければどうにもならない要因をKPIとして導き出してしまう可能性もあるということです。例えば、日経平均株価に比例して売上が伸びるとして「KPIは日経平均株価だ!」といったところで眺めていることしかできません。

KPIのもう一つの要素として、「自分の努力で変えられる要因であること」という点も重要です。店舗数は会社の意思決定で増減させられます。もちろん資金的、物理的な制約などがあり、無制限に増加させることはできませんが日経平均株価のようにただ眺めていることしかできないという事はありません。

適切なKPIを設定してモニタリングする重要性

KPIは定量的に把握する必要があります。KPIをモニタリングして、数値を改善する努力をする結果、求めている結果がよくなるというサイクルを作ります。これができないと、決算書を見て「売上が伸びていない」「コストがかかりすぎている」ということが分かったところで、いったいどういうアクションを取ればいいのかよくわかりません。

小さい規模の事業であればリーダーがなんとなくKPIにあたる指標を勘で把握し、改善していくことで成長していく可能性もありますが、規模が大きくなり経営管理者と実行するメンバーの距離が離れていくとそういった指標の把握とモニタリングが重要になってきます。

会計士や税理士に求められていることと課題

思えば、会計監査や税務顧問業務も決算情報にはアクセスでき、KPIの分析まで行うことができればコンサルティングもできると思いますが、会計処理が適切に行われているかどうかの確認にほとんどすべての時間を取られてそういった会社が本来求めているアドバイスをすることが難しい状況です。かつては、簡素な会計基準、高額な報酬でそういったことに意識を向ける時間があったのかもしれませんが、今はただひたすら数字の正しさの確認や申告書の作成で終わってしまっています。

今後AIやRPAといった情報技術がそういった確認作業を肩代わりしてくれるようになったら、会計士や税理士も経営を支援する情報を分析する作業に時間をかけられるようになり、本来求められている経営支援により多くの時間を割けるようになるかもしれません。