「個人事業主でやってきたけど法人化したい」「株式会社を作りたい」という方が、まずは相談しないといけないのが司法書士です。会社設立には設立登記が必要で、登記は司法書士の独占業務だからです。しかし、会社設立freeeを使えば、司法書士に依頼することなく自分で会社設立を行うことができます。
会社設立freeeでできること
会社設立freeeとは、株式会社freeeが作成したツールです。インターネット上で定款の作成や登記申請書の作成など、会社設立に必要な一連の作業をフォームに入力していくだけで、会社設立に必要な作業が完了します。このツールの利用料自体は無料です。
私も、この度株式会社を作ることを決意し、先日この会社設立freeeを使って設立登記を行うことができました。作業自体は本当に簡単でした。作業にかかる工数はおそらく2,3時間といったところです。定款の認証は行政書士に依頼しないといけない、公証役場に行かないといけない、会社の印鑑は会社設立freeeから作成しても、別途自分で作成しても大丈夫なのですが、その作成までの期間がかかるなど、2,3時間で会社が設立できるわけではありませんが、フォームに入力している時間や登記申請書類に押印する時間などは2,3時間でした。会社名や資本金が決まっているなど、スムーズに行くならもっと作業時間は短かったかもしれません。
会社設立freeeを使うデメリット
会社設立freeeを使う最大のデメリットは、「会計freee」を使わないと電子定款作成に5,000円の手数料がかかるという点です。つまり、すでに別の会計ソフトで記帳を行っているなどしていた場合に、会計freeeに無駄に利用料を払うか、会計freeeに乗り換えないといけません。私はfreeeの認定アドバイザーのため会計freeeはお勧めしますが、「どうしても会計freeeは使いたくない!」という方はデメリットになります。
会社設立freeeの中で、利用を促す選択肢がありますのでそこで選ぶことになります。慌てて別に登録しないようにご注意ください。
会社設立にどうしても必要な費用
通常、司法書士に株式会社設立を依頼すると全て込みで30万円ぐらいの費用を取られます。司法書士の手数料は5万円程度ですが、必要経費が25万円程度かかるためです。しかし、会社設立freeeを使うと、司法書士の手数料がいらなくなります。その分、公証役場に行って定款の認証を受ける、法務局に行って登記申請書類を提出するといった手間は自分でやらなければいけません。
私は、会社印鑑(黒水牛)の作成18,900円、定款の認証51,900円、登録免許税75,000円(本当は15万円かかりますが、特定創業支援事業を利用しました)、登記簿謄本や印鑑証明の費用1,000円程度といったところで会社を設立できました。司法書士の先生にお願いすることもなく無事に会社設立を完了できました。
会社印鑑 | 18,900円 |
定款の認証 | 51,900円 |
登録免許税 | 75,000円 |
印鑑証明 | 300円 |
合計 | 146,100円 |
特定創業支援制度
株式会社の登録免許税は15万円ですが、特定創業支援制度という登録免許税を半額にできる国の支援制度があります。これは自治体によって内容が異なることがあるので、ご自身の会社を設立する際の所管の商工会に聞いてみてください。福岡市は市の補助がさらに75,000円出るため、登録免許税は0円で会社設立できます。私は春日市で設立したため、国の制度のみで半額免除でした。それでも、75,000円はかなり大きいです。
中小企業診断士差別?を受ける
実は、この特定創業支援制度に申し込もうとしたときに、私が中小企業診断士であるという理由で断られそうになりました。なぜなら、この支援制度を受ける必須の要件として「中小企業診断士の指導を受ける」必要があるためです。「中小企業診断士なんだから、中小企業診断士の指導を受ける必要はないでしょう」というわけです。
しかし、私が欲しいのは中小企業診断士の指導の結果得られる「登録免許税半額」の特典です。中小企業診断士がこの制度を利用できないと決まっているのであれば諦めますが、そんな記述はどこを見ても見当たりません。そこで、「中小企業診断士だからこの制度を受けてはいけないということではないですよね」と食い下がったところ、受けられることになりました。
1ヵ月をかけて全4回の中小企業診断士の指導を受け、創業計画書を作成するのですが、結果として受けてよかったです。市内の中小企業診断士の方と仲良くなることができましたし、断ってきた商工会の担当の方とも結果的に仲良くなって、様々な補助制度の情報をいただくことができました。
特定創業支援制度は、今から会社設立を行う人はぜひ利用をお勧めします。設立が1カ月程度遅れることになりますが、トータル8時間の指導で75,000円がもらえると思えば、ためになる話を聞けて時給1万円近いお金がもらえたのも同然です。福岡市に至ってはさらに倍です。何かと初期投資にお金がかかる設立当初には非常にありがたい制度です。
登記書類申請時に注意が必要
登記費用を抑えるためには、特定創業支援制度を利用した証明書を市区町村に発行してもらい、登記申請時にその証明書も一緒に提出します。この時注意が必要なのが、登記申請書類を会社設立freeeで作成すると、登録免許税の所が150,000円として作成されます。
それを、PDFの編集ツールで編集するか、捨印を押して手書きで75,000円に修正する必要があります。
特に迷うこともなく、書類の不備もなく会社設立完了
会社設立freeeを利用すると、特に迷うこともなく、書類上の不備もなく、司法書士にお願いしなくとも会社設立を行うことができます。私の場合は、いくつか修正しないといけないところがありましたが、そういったものも、致命的なことはなく連絡が来て修正方法を教えてもらえますので指示に従って修正することで設立することができました。
会社設立を検討されている方は、本当に簡単なのでぜひ利用していただければと思います。